〈独自〉未承認薬の処方も 大阪・夢洲に次世代医療施設

大阪府市が2025年大阪・関西万博の会場となる夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)で、海外の著名医師による遠隔診療や日本で未承認の薬の処方、医療機器の活用などを行える次世代医療施設の開設を検討していることが31日、分かった。万博では、未来の医療サービスを体験できるパビリオンを開設するが、その施設の活用も念頭に、万博後の早期のサービス開始を目指す。

医療施設を万博の「レガシー(遺産)」とし、訪日外国人客(インバウンド)を呼び込む拠点としても重視する考えだ。

日本では、2国間協定を結ぶ特定の国を除き、外国人医師でも日本語による試験で医師免許を取得する必要があるが、これを、どの国の医師でも英語で受験できるようにする。

試験に合格した医師は夢洲で診療行為が行える。免許を取得した医師が来日せずオンラインで患者を診療することもできる。

さらに国内で未承認の薬や医療機器も使えるようにし、日本人の患者が海外と同水準の先端医療を受けられる環境を構築。インバウンドや、仕事で日本に駐在する外国企業のビジネスマンなども先進医療を容易に受診できる環境を整える。

デジタル技術の活用や大胆な規制緩和を通じ、従来にない利便性を住民に提供する最先端都市「スーパーシティ」の枠組みで実現する。府市は昨秋、政府の提案募集に対し、夢洲での新医療施設の開設を前提に、次世代医療サービスを提供できるようにするための規制緩和を要請した。

府市がこれらの取り組みを進める背景には、関西が強みを持つライフサイエンス分野を万博のレガシーとしてさらに発展させる狙いがある。

このほか、新型コロナウイルス禍後に回復が見込まれるインバウンドの来訪や、29年秋に計画される夢洲での統合型リゾート施設(IR)の開業をにらみ、夢洲でのメディカルツーリズム(医療観光)産業の振興などを視野に入れている。

夢洲でこれらの規制緩和が実現できれば、例えば海外の著名医によるオンライン診療を、国内の患者だけでなく、IRを訪れた海外客に提供するなどのサービスも実現できる。医療施設での診療は自由診療とし、日本の健康保険は適用されない方針という。

スーパーシティはデジタル技術で最先端の都市を実現させる政府の施策で、昨春、実現を希望する自治体からの応募を受け付けた。

府市は、夢洲と、JR大阪駅北側の再開発地域「うめきた2期」をスーパーシティの対象地域として応募したが、政府は募集に応じた全31自治体に対し、再提案を要請。大阪は10月に申請書を再提出した。来春ごろに5自治体ほどが選定される見通し。(黒川信雄)