地熱で「グリーン水素」 大林組と清水建設、事業化を視野

大林組が運転稼働させる大分県九重町の地熱発電を活用したグリーン水素の製造プラント(同社提供)
大林組が運転稼働させる大分県九重町の地熱発電を活用したグリーン水素の製造プラント(同社提供)

ゼネコン大手の大林組と清水建設は、製造工程でも二酸化炭素(CO2)を排出しない「グリーン水素」事業の実証に着手した。いずれも国内に豊富にある地熱資源を利用する。燃やしてもCO2を排出しない水素は、令和32(2050)年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向け、次世代燃料として期待されている。製造コストが課題だが、地熱由来の水素は価格優位性があるとみられ、両社とも事業化を視野に入れる。

水素は石油や石炭、天然ガスといった化石燃料に代わるエネルギーとして期待されている。政府は12年度の電源構成で、水素・アンモニアを1%にする目標を掲げている。

水素の製造方法で最も一般的なのは化石燃料を分解して製造する方法だ。ただ、製造工程でCO2が発生するため、大気中にそのまま放出する場合は「グレー水素」と呼ばれる。これに対し、製造工程で排出されたCO2を回収し、地下に貯留したり、資源として利用したりするのが「ブルー水素」。再生可能エネルギーの利用などで、製造時にCO2を排出しないのがグリーン水素だ。

大林組は7月に地熱が豊富な大分県九重町で、グリーン水素を生産する実証プラントを稼働した。地下約700メートルから取り出した約150度の蒸気でタービンを回して発電、その電力で水を電気分解して水素を製造する。

実証ではグリーン水素の製造だけでなく、つくった水素の供給体制も検証する。既にトヨタ自動車のレース用の水素エンジン車にも供給した。大林組は5年度まで実証実験を続ける。

清水建設も11月に九重町でグリーン水素を製造する実証プラントの建設に着手した。水を再エネで電気分解するという一般的なグリーン水素と異なり、原料に木材チップと地熱による高温の水蒸気を使う。北海道大の市川勝名誉教授やプラントメーカーのエネサイクル(宮城県大崎市)などと技術を共同開発した。

プラントは木材チップの炭化炉、そこでつくられた炭化物をガス化する改質反応器、水素製造装置で構成する。

最初に木材チップを炭化炉で蒸し焼きにして炭化した後、その炭化物を改質反応器に投入。炭化の過程で発生する高温ガスを利用して改質反応器の内部を800度超に加熱すると、炭化物と水蒸気の化学反応で水素を含んだ混合ガスが生成される。そのガスから高純度の水素を抽出するというプロセスだ。

プラントは来年3月末に完成。その後、試験運転を経て、7月から性能検証を行う予定だ。事業化の際には10基程度のプラントを併設し、生産能力を高める。

ゼネコン大手は太陽光や風力、地熱などの再エネ設備を建設するだけでなく、自ら再エネ設備を運営し、売電事業も展開している。製造時にも燃焼時にもCO2を排出しないグリーン水素の需要が高まるのは確実とみられ、他のゼネコン大手も参入に向けた動きが本格化しそうだ。(黄金崎元)

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