五輪のレガシー

氷上の華フィギュア 未来のスター京に土壌

木下アカデミー京都アイスアリーナで練習する子供たち。未来の五輪選手を目指している=京都府宇治市
木下アカデミー京都アイスアリーナで練習する子供たち。未来の五輪選手を目指している=京都府宇治市

五輪イヤーとなった今年だが、2カ月後には北京冬季五輪・パラリンピックが迫る。注目される競技の一つが、氷上の華とも言われ、関西ゆかりの選手も多いフィギュアスケート。これまでも日本勢は五輪の舞台で活躍、北京大会でもメダルへの期待が大きい。スケートが盛んだが、相次いでスケート場が閉鎖された京都では、14年ぶりに通年リンクがオープン。府と民間との連携で、世界レベルの選手育成に向けての環境が整いつつある。

通年型リンク

京都府南部の宇治市。山城総合運動公園内の一角に白い巨大な建物が姿を現す。国際競技規格のメインリンク(縦60メートル、横30メートル)とサブリンクを備えた通年型アイススケート場「木下アカデミー京都アイスアリーナ」だ。

師走の日曜の夕方、小学1年~中学2年の男女17人がリンクに集まってきた。約10クラスあるアリーナ主催のスケート教室の中で最上位の「育成クラス」のメンバーで、全員が選手コースを目指す。

通年型アイススケート場「木下アカデミー京都アイスアリーナ」=京都府宇治市
通年型アイススケート場「木下アカデミー京都アイスアリーナ」=京都府宇治市

ターンや片足で滑るといった昇級試験に必要な技術の習得のために、真剣な表情で氷上に立つ。それでも、京都市西京区の小学4年、藤井英万(えま)さん(10)は「できるようになるのに人の倍かかるけど、楽しいから続けたい」と笑顔を見せる。憧れは、羽生結弦選手だという。

裾野を広げる

アリーナを運営するのはスケートリンクの企画・建設を手がける「パティネレジャー」(東京)。兵庫県西宮市や埼玉県上尾市でも同様の施設を運営する。

一般営業のほか、大学のアイスホッケーチームなどへの貸し切り営業や教室事業を展開。さらに、スケート愛好者の会員向けに開放する時間も設けている。会員は京都を中心に滋賀や兵庫などの80~100人で、年齢層も幅広いという。

支配人の五十嵐光さんは、「スケート熱の高い上の年齢層の人たちが継続して滑れる環境を提供して、裾野の拡大に努めたい」と話す。

■練習場求めて

大学が多い京都では学生選手が活躍するなど、スケートが盛んだった。京都市内には、高野アリーナ(左京区)や醍醐アイススケートリンク(伏見区)など本格的なスケート場があったが、多額の維持費やレジャーの多様化で平成17年までに相次いで閉鎖。京都を拠点としていた選手らが練習場所を求めて府外に流出する現象が起きた。

そこで、府内のスケート力の底上げと振興を目的に、府が宇治市の公園用地を無償提供し、令和元年12月に待望だったアリーナ誕生にこぎつけ、選手らが再び京都に戻ってきた。

「スケートが生活の一部になっている選手も多く、地元に通年リンクができたことで、生活リズムも安定し、練習も落ち着いてできる」。こう語るのは、府スケート連盟の細川信子・フィギュア部長(56)だ。さらに、府外からもいい選手が集まってくるようになったことで全体的なレベルも上がっているとした上で、こう期待を込める。「数年後にはジュニアの中から五輪選手が誕生するはず」

躍進する「木下アカデミー」

京都アイスアリーナを拠点に活動する「木下スケートアカデミー」は、国際大会で活躍できるフィギュアスケーターの育成機関。木下工務店などを傘下に置き、アリーナの命名権を獲得した木下グループ(東京)が令和2年4月に開校した。

木下グループには北京五輪代表に決まったペアの三浦璃来(りく)、木原龍一組ら一線の選手が所属するほか、アカデミーには9~20歳の18人が練習生として在籍。今年の全日本ジュニア選手権女子の部5位の田中梓沙(あずさ)さん(16)ら3人は京都出身、昨年のNHK杯で3位になった本田ルーカス剛史さん(19)ら4人が大阪など、関西出身者が大半を占める。

女子選手の躍進は目覚ましく、浅田真央さんらが制した全日本ジュニア選手権では、今年の女子上位6人中4人を練習生が占めた。

優勝した島田麻央さん(13)は、3月の京都府選手権で国際スケート連盟公認の大会ではないものの、日本女子として初の4回転トーループに成功。注目されるジュニア選手だ。

こうした活躍について、関係者は「通常なら深夜や早朝でないと練習できないが、京都アリーナでは1年中、昼間も貸し切りで使える。世界での経験を持つ指導陣がチーム体制で指導している点も大きい」と話している。(田中幸美)

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