【ワシントン=塩原永久】新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の流行を受け、米大手企業で出社再開を延期する動きが広がっている。IT大手アップルは在宅勤務への対応費として従業員1人あたり1千ドル(約11万円)を支給するといい、IT業界などで在宅勤務の「常態化」が進む可能性がある。
米メディアによると、アップルは来年2月とした出社再開を無期限延期。グーグルの持ち株会社アルファベットも当初予定の来年1月から遅らせる。自動車大手フォード・モーターも一部社員の出社を来年春まで先延ばしする。
米企業では昨年春の流行後、出社を見合わせる動きが加速。IT業界を中心に在宅勤務を積極導入する動きが進んだ。今回も従業員の柔軟な勤務形態を後押しする狙いもあるもようだ。
調査会社の最近のアンケートでは、オミクロン株流行で出社再開計画を変更したと回答した米企業が44%に上った。本格的な出社再開を一律に遅らせるほか、同じ日に出社する社員を減らして、職場での過密を防ぐといった対応策を模索しているという。
アップルは東部ニューヨーク市の販売店を一部業務を除き休止すると伝えられており、感染再拡大が景気に悪影響を及ぼす懸念も強まってきた。一部のエコノミストは、2022年1~3月期の米実質国内総生産(GDP)の予測を大きく下方修正している。