〈独自〉パソナ、アバター使い観光案内 令和4年から

総合人材サービスのパソナグループは29日、令和4年から、遠隔で自らの分身を操作する「アバター」を使った観光案内事業を兵庫県淡路市で始めることを明らかにした。3年11月にアバターの人材育成・教育施設を市内に設置しており、操作は同施設のメンバーが担当。アバターに精通した人材と必要な機器などをセットで企業などに売り込むことを想定し、2025年大阪・関西万博での活用も視野に入れている。

アバターを投影するためのデジタルサイネージ(電子看板)を、人気アニメのテーマパーク「ニジゲンノモリ」など淡路島内の数カ所に設置。ほかに同社関連の観光施設も設置候補にあがっている。

デジタルサイネージにはコンピューターグラフィックス(CG)の女性キャラクターが映し出され、観光客が画面に向かって話しかけると案内が始まる。

キャラクターの操作は市内にある同社の「淡路アバターセンター」を拠点に、センターのメンバーが担当。声を加工できるボイス・チェンジャーを使いリアルタイムでしゃべる。

観光地へのアクセスや、その日にお勧めの夕日の名所などを必要に応じて動画や画像を示しながら案内。複数の目的地を組み合わせたベストルートを示すこともでき、飲食店や宿泊施設の予約もその場でできる。

観光客が話しかけるまでは「待機状態」だが、デジタルサイネージの前を通る観光客の状況を遠隔で把握しており、キャラクター側から観光客に話しかけて利用を促すこともある。

アバターでの観光案内のメリットについて、同社常務執行役員の松村卓司氏は「対人に比べて話しかける心理的なハードルが下がるので気軽に質問や相談をしやすく、文字や映像だけよりも情報が伝わる。新型コロナウイルス禍で非接触の安心感もある」と話す。

IT技術を活用し事業構造を改革するDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する中、アバターを通じて交流や取引を行う「メタバース(仮想世界)」事業が注目されている。同社は淡路島内での実践を通じてシステムを向上させ、将来的にアバターに通じた人材と機器をセットにして、企業や官公庁に売り込むとしている。

同社のアバター事業は、大阪万博のプロデューサーを務める大阪大学大学院の石黒浩教授が最高経営責任者(CEO)のベンチャー企業「AVITA(アビータ)」と連携していることから、万博会場での活用も想定している。

松村氏は「アバターの操作は仕事の自由度が高く、就業者の年齢や障害の有無、働く場所も問わない。取り組みの社会的意義は高いと考えており、実用化を進めていきたい」と語る。(井上浩平)

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