性ホルモンを学ぶ

⑤社長も参加する「生理研修」 女性社員に安心感

女性の社会進出が進むにつれ、生理をはじめとする特有の健康課題について理解を深めようという動きが活発化している。企業や自治体が職場で行う「生理研修」もその一つだ。性別の違いや上司と部下の垣根を越えて、女性の体調の変化やつらさを学び合うことが、職場の安心感の醸成につながるという。

企業、自治体、大学も

「この1年で大きな反響を呼んでいます」

日用品大手ユニ・チャームが、企業や地方自治体などに向けて実施している「生理研修」の担当者はそう語る。

生理をタブー視する風潮に疑問を投げかけ、身体の不調に対する相互理解を促そうと、令和2年から取り組みを始めた。1年目の応募数が25件だったのに対し、2年目の今年は約100件に急増。当初は企業だけだったが、地方自治体や大学などへ対象が広がっている。

「研修の応募理由で多いのは『相互理解によるコミュニケーションの改善』や『女性活躍推進』。SDGs(持続可能な開発目標)への貢献が企業価値を高める時代となり、ジェンダー平等の観点から、生理研修を積極的に実施する動きもある」と担当者は話す。

満足度は9割

研修は、生理や女性の健康に関する知識について▽生理ケアの選択肢について▽男女交えた意見交換-の3部構成だ。

「男性は製品に触れたり、機能を分析したりすることに関心を持つ人が多い。普段触ることのない生理用品を手に取ることで、当事者でない男性が生理について想像するきっかけにしてほしい」と担当者は語る。

管理職や社長自らが研修に参加する企業もあり、受講後の満足度は90%以上という。

男性受講者からは「女性が体調が悪いことを伝えやすい空気を作る必要がある」、女性からは「受講した人に対しては生理について安心して話せる」といった声が寄せられている。

企業側にも無給だった生理休暇が有給になったり、トイレに生理用品が設置されたり、前向きな変化が起きるそうだ。

同社担当者は「研修を受けて終わるのではなく、次のアクションにつなげてもらうのが狙い。自治体であれば、防災備蓄に生理用品を加えてもらうなど、それぞれの組織に対応した提案をこれからも続けていきたい」と話している。

人生の節目節目に、身体的、精神的な影響をもたらす「性ホルモン」の作用に注目が集まっています。性に関する科学的な知識をもつことは、豊かな人生につながります。家庭で、職場で、学校で-。生物学的に異なる身体的特徴をもつ男女が、互いの身体の仕組みを知り、不調や生きづらさに寄り添うことを目指した特集記事を随時配信していきます。

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