速報

速報

共通テスト不正 受験生出頭

勇者の物語~「虎番疾風録」番外編~田所龍一(379)

スト突入 「来季12球団」選手会譲らず

交渉決裂。「スト突入」を報じるサンケイスポーツ=2004年9月19日
交渉決裂。「スト突入」を報じるサンケイスポーツ=2004年9月19日

■勇者の物語(378)

「ライブドア」と「楽天」の新規参入への名乗りは、来季の「セ6パ5」に疑問を持ち始めた球団から「6と6の2リーグが理想」と大いに歓迎された。

なのに労組選手会は平成16年9月18日と19日の土日2日間(計12試合)の「スト」に突入した。なぜ、そんな〝悲劇〟が起こったのか。労使交渉が行われた9月17日を振り返ってみることにする。

争点は選手会が求める来季の「セ6パ6」12球団による2リーグ制の維持。選手会はまず、オリックスと近鉄の合併の「1年凍結」を求めた。経営者側は「無理」と回答。予想された答えだ。そこで選手会は来季からの新規参入の認可を求めた。経営者側も異存はない。話し合いはこれでまとまるかと思えた。

ところが、ある1点で両者はひっかかった。古田会長が「平成17年から」と求めたのに対し経営者側は「17年以降」と主張し譲らない。古田は「スト決行」をちらつかせた。すると経営者側は合意書に『最大限の誠意をもって最大限努力する』という一文を付ける―と譲歩。古田は選手会に持ち帰った。ところが今度は選手会の〝スト強硬派〟が「以降では不確実」と「から」に固執したのである。

両者の間を古田は何度も何度も往復して説得を試みた。だが、約10時間に及んだ話し合いは「決裂」した。午後9時過ぎ、記者会見に臨んだ古田は目を真っ赤に腫らしてスト決行を選択したことを告げた。

「この週末、プロ野球を楽しみにしていたファンの皆さまには心苦しい思いです。申し訳ありません。来季をセ6パ5で迎えるのは歪(いびつ)な形だと思う。審査があることは承知している。それでも来季に向け最大限の努力をしてほしかった」

これに対し経営者側の代表となったロッテの瀬戸山球団代表は―。

「新規参入はこれから誠意を持って審査していきます。ですが、〝来季から必ず12球団〟となると、時間的な問題もあり非常に難しい。誠意をもって公平に審査するには時間が必要です。そこを理解してもらえなかった。損害賠償を請求することになるでしょう」と唇をかんだ。

プロ野球は史上初のストに突入した。球界の損失は「約20億円」といわれた。(敬称略)

■勇者の物語(380)