世界中に衝撃を与えた元会長のカルロス・ゴーン被告の逮捕から3年がたった日産自動車がブランド力を取り戻し、新たな成長に向けてアクセルを踏みだす。人気スポーツカー「Z」(日本名・フェアレディZ)をレーシングカーとして復活させ、今後5年間で電動車の開発などに2兆円を投じる野心的な計画を掲げる。2022年3月期は3年ぶりの黒字を見込むが、本業の自動車事業は赤字のままだ。一部の軽自動車の性能に問題がある可能性も浮上。復活への道のりは決して平坦(へいたん)ではない。
12月5日、富士スピードウェイ(静岡県小山町)。富士山を一望できるサーキットを黒のレーシングカーが華麗に疾走し、無人の観客席の前を轟音(ごうおん)を立てて通り過ぎた。
車は、日産がこの日初披露した「ニッサン Z GT500」。国内最高峰の自動車レースの一つで、市販車を改造したレーシングカーで競う「スーパーGT」に22年から参戦する。