〈独自〉経済安保法案、情報漏洩で民間に罰則検討 中国への流出防止

政府が来年の通常国会への提出を目指す経済安全保障推進法案で、機微技術の情報などを共有する民間に対し、情報漏洩(ろうえい)に関する罰則を設ける方向で検討していることが分かった。官民が連携して取り組む施策で民間に罰則を導入するのは異例だが、情報管理を厳格にして中国などへの流出を防ぐ必要があると判断した。複数の政府関係者が28日、明らかにした。

政府は経済安保推進法案の4本柱の一つに「官民技術協力」を掲げる。官民が持つ技術情報を活用し、経済安保分野の中核となる人工知能(AI)や量子技術などの先端技術を育成・支援する枠組みだ。

実施に当たり、政府が保有する機微技術の情報や政府の目指す方針などを民間に伝える。特定秘密に指定された情報などについては官民ともに秘密保持に関する罰則が伴う。一方、そこまでには至らない情報の取り扱いの場合、政府側の職員は国家公務員法の守秘義務違反などに問われ、罰金や懲役といった罰則が科されるが、民間側への規定は原則として存在しない。防衛装備品の共同開発などでも、契約上の制約にとどまっているのが実情だ。

ただ、AIや量子技術をはじめ機微情報が流出すれば安全保障などに重大な影響を及ぼす可能性があることから、経済安保推進法案では民間にも罰則を設ける方向だ。対象となる情報の範囲や罰則の詳細な内容などは今後の議論で詰める。

罰則の導入には「民間の萎縮を招く」との指摘もあるが、米欧をはじめ海外では一般的で、むしろ日本の対応の甘さが指摘されている。政府関係者は「経済安保の重要性はますます高まる。情報管理を徹底する観点から最低限の手立ては必要だ」と説明する。

機微技術に関する情報管理をめぐっては、アクセスを限定する「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」の導入・拡大を求める声も政府・与党内にはある。ただ、民間人でも配偶者や父母などの戸籍を調査されるなど人権に関わる懸念が焦点化する可能性があることから、経済安保推進法案では設けない方向だ。