対中国軍機へのスクランブル、半年前の5倍 艦艇の海峡通過も増加

中国やロシアの空軍機が日本の防空識別圏に入り、航空自衛隊機が緊急発進(スクランブル)した回数が半年前の5倍近くに増えている。加えて、中露艦艇による日本周辺の航行も増加。例年、日米共同演習が行われる秋にかけて増加傾向があるが、特に今年は中露共同での飛行や航行が目立つ。

防空識別圏は領空侵犯に備えるために領空外側に設けられた空域。防空識別圏への侵入が戦闘機による緊急発進の基準となる。

今年5月の緊急発進回数は26回で、このうち中国軍機に対する発進は20回だったが、その後毎月増加。半年後の11月には127回で、中国軍機への発進も104回に増えた。ただ、4~9月は計390回、中国軍機への発進は計281回で平成30年度の同時期よりも少なく、過去と比べて必ずしも多くはない。

中露艦艇の海峡通過なども秋にかけて増えた。6~7月にはロシアが4回で中国はなかったが、8月下旬から活発化して9月は13回に増加。例年1回だけの中国海軍の空母「遼寧」の通過は、4月に続いて12月にもあった。

今年は中露両軍による共同行動も目立つ。10月には、両海軍艦艇計10隻が時計回りに日本周辺海域を一周した。11月には両空軍爆撃機計4機が日本海から太平洋へ抜ける異例の長距離飛行。政府は「示威活動を意図している」(岸信夫防衛相)と強く反発した。

今年は8月下旬から9月にかけて英海軍空母「クイーンエリザベス」打撃群との大規模共同訓練に日米など各国が参加。共同訓練は毎年秋に行われることが多く、これに対抗するための中露の軍事活動は秋にかけて活発化する。

明海大の小谷哲男教授(安全保障論)は「運用頻度の向上や作戦範囲の拡大は続いているが、国際法に反しない限り大騒ぎするほど相手の思う壺だ」と指摘。その上で、台湾空軍でも緊急発進が増えていることから「中国軍機の運用に変化がないかどうかを分析すべきだ。そのためにも台湾と情報共有できれば望ましい」と述べた。

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