2021 ちば回顧

 児童5人死傷事故 被告に反省の色見られず

小学生の列に突っ込んだトラックを調べる捜査員ら=6月28日午後、八街市(萩原悠久人撮影)
小学生の列に突っ込んだトラックを調べる捜査員ら=6月28日午後、八街市(萩原悠久人撮影)

千葉県八街市で6月28日、飲酒運転のトラックが市立朝陽小学校の児童の列に突っ込み、5人が死傷した事故。幼い命が奪われた事故は、近隣住民だけでなく、社会に大きな衝撃を与えた。10月には自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪に問われた元運転手、梅沢洋被告(61)の裁判が始まった。梅沢被告は、初公判で「(間違い)ないと思います」と起訴内容を認めたが、いまだ反省の色を見て取ることはできない。(長橋和之)

事故の一報を受け、駆け付けた現場で目に飛び込んできたのは、進行方向左側の畑に突っ込んだままのトラックとその後ろで斜めに傾いた電柱だった。普段はのどかな田畑や民家が点在する地域は騒然となっていた。事故後、多くの人が献花に訪れていたことが今でも印象に残っている。

地元の地主として知られる親族がいた梅沢被告。専門学校を卒業後、親族が経営するガソリンスタンドで働いていたが、そのガソリンスタンドが廃業。ガソリンを卸していた縁で、現場近くの運送会社に就職したという。同じ敷地内で暮らしていた母親は事故直後の取材に「本当に悪いことをした。子供を巻き込んでしまうなんて申し訳ない」と力なく話した。

これまでに3回開かれた公判では、被告人質問も行われ、梅沢被告が常習的に飲酒運転を行っていたことも明らかになった。

梅沢被告は公判で、昨年2~4月、酒が残った状態で出勤したことをきっかけに仕事でストレスを感じると勤務中でも飲酒するようになったと説明し、「酒に逃げた。飲むと落ち着いた」と述べた。「会社に帰る前だと週に1、2度。日報を書きながらも含めると週に2、3度」と、常習的な業務中の飲酒を認めた。

梅沢被告は、被害児童の家族の代理人弁護士から児童の学年を問われた際、「はっきりと覚えていない」と答えられなかった。謝罪のための具体的な行動は「どうしたらいいか考えている最中だ」と述べた。

公判には、被害者参加人として、被害児童の家族も出廷。梅沢被告が事件直後の様子について述べた際には、法廷にすすり泣く声が響いた。家族は、第3回公判の閉廷後、弁護士を通じ「被告人から真摯な反省を感じることができず大変残念に思えてならない」とコメントを出している。

事故を受け、行政や県警も動いた。市は現場周辺にガードパイプや車の速度を落とさせるハンプと呼ばれる凸部を設置。県警は、現場を含む道路で時速30キロの速度規制を始めたほか、10月からは飲酒運転摘発のプロジェクトチームを設置。11月末までの2カ月間で324件の飲酒運転を摘発した。11月末時点の摘発総数は、1316件と前年同期を98件上回っており、重大事故の発生後も、依然として飲酒運転を行うドライバーが多い現状が浮彫となっている。

来年1月17日に開かれる次回公判では、検察側の論告求刑や被告人による最終意見陳述などが行われる予定だ。被告が何を語るのかに注目したい。