赤の広場で

旧ソ連の野良犬

ソ連崩壊から30年をテーマとした連載の取材で今月、ロシアや旧ソ連の各地を訪れた。取材の合間に目を引いたのは、野良犬の多さだった。どの街も寒く、雪が降っていた。動物好きの私には心が痛む場面が何度もあった。

キルギスの首都ビシケクでは大通りの中央分離帯に5、6頭の野良犬の群れがいた。犬たちは左右に首を振り、車列の切れ目を探していた。車が近づく中、1頭が車道に出て、他の犬も続いた。あっと息をのんだが、車が急ブレーキをかけて事なきを得た。先頭の犬は足を引きずっていた。以前にはねられたのだろう。

気になって調べると、ビシケクでは野良犬の増加が問題化し、当局は射殺で対応しているが、動物愛護団体が抗議しているという最近のニュースを見つけた。

ロシア各地でも、飼い主に連れられた犬を恨めしそうに見たり、雪に鼻を近づけ食べ物を探しながら力なく歩いたりしている野良犬を何頭も見た。食べ物を与えると、うれしそうに尻尾を振る姿が痛ましかった。

野良犬には人を襲う危険があり、殺処分にやむを得ない面はあろう。だが、ペットを捨てる人がそうした悲劇を増やしていることも忘れてはなるまい。各地で見た犬たちが無事に年を越して春を迎え、できれば新たな飼い主に出会えるのを願っている。(小野田雄一)