オミクロン濃厚接触者「搭乗者全員」から従前に

後藤茂之厚労相
後藤茂之厚労相

後藤茂之厚生労働相は27日、新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の水際対策について、陽性者が出た場合、航空機の同乗者全員を濃厚接触者として扱っている緊急措置を終了し、28日から従来の対応に戻す考えを記者団に示した。東京都や大阪府などで市中感染が確認される中、政府は軸足を水際対策から国内対策に切り替える方向で検討しており、今回の緊急措置の終了はその一環といえそうだ。

後藤氏は「オミクロン株であっても機内の同乗者が陽性となる割合は極めて低い。緊急的な取り扱いは終了する」と言及し、機内で陽性者が出た場合、陽性者の前後2列の乗客と家族、同行者を濃厚接触者の範囲とする従来の方針に戻すことを明らかにした。

水際対策をめぐっては、政府は11月30日午前0時から全世界を対象に外国人の新規入国を停止する措置を取っているが、一方で1日約3500人を上限に入国(帰国)を受け入れている。これまで陽性者が出た場合は、航空機の同乗者全員を「濃厚接触者」として扱い、一定期間、宿泊施設で隔離していた。

その結果、空港周辺自治体の保健所は業務が逼迫(ひっぱく)しつつある。施設の手配や健康観察などを行っているからだ。現地では、感染経路の追跡調査も抱えている。

岸田文雄首相は今月21日の記者会見で、外国人の入国停止措置などについて「年末年始の状況を見極めつつ、当面の間、延長する」と述べており、年明け以降、保健所のマンパワーなども勘案した上で、対策の方向性を改めて検討する考えだ。

そもそも水際対策に「百パーセントはなく、時間稼ぎだ」(専門家)という側面は強い。厚労省幹部は「市中感染が広がってしまえば、水際で特別な扱いをする合理性は低くなる。いずれ国内対策にウエート(比重)を変えていく」と語る。(坂井広志)