【モスクワ=小野田雄一】ロシアが北大西洋条約機構(NATO)側に将来的な東方拡大の排除などを要求している問題をめぐり、プーチン露大統領は26日放映の露国営テレビ番組で、ロシアの要求が拒否された場合、「軍事専門家からの提案に基づき、ロシアはさまざまな対応を取る」と述べた。タス通信が伝えた。
プーチン氏は軍事力を行使する可能性を排除しないことで、NATO側を牽制(けんせい)、今後の交渉を有利に運ぶ思惑だとみられる。
同番組でプーチン氏は「われわれが(NATO側に)提案をした目的は、外交対話を通じた結果、すなわち法的な文書に基づく確固たる結果を達成することだ」とも説明した。
プーチン露政権は今月15日、NATOは現状以上の東方拡大をせず、東欧諸国に展開中の軍備も撤収させる-などとする「条約」の締結をNATO側に要求。17日に内容を公表した。ロシアとNATO側との交渉は来年1月にも開始される見通し。
プーチン氏は21日の露国防省幹部との会合でも、「欧米側が攻撃的な姿勢を取り続ければ、ロシアは軍事的手段で対応する」と述べていた。