オミクロン株濃厚接触者の「宿泊施設待機」に自治体間で温度差

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染が広がる中、政府が濃厚接触者に求める「宿泊療養施設での待機」をめぐり、自治体間で温度差が生じている。東京都は確保している施設に余裕があり、国に水際対策の徹底を重ねて要請しているが、神奈川、千葉両県からは「不可能」と悲鳴に近い声も上がっている。

「同乗しておられた方をすべて『濃厚接触者』と幅広くとられたことは英断だった」。オミクロン株の感染が世界的に拡大し始めて以降、政府に水際対策の強化を求めてきた小池百合子都知事は23日、国が感染者と同一機内の乗客全員を「濃厚接触者」と扱ってきたことを評価した。

都は11月に新型コロナの流行「第6波」に備え、医療機関や臨時の医療施設のほか、宿泊療養施設を段階的に最大で31施設、約7900室確保する計画を策定。その後のオミクロン株対応で計画を前倒しし、年明けには約4760室まで積み増すことを決めた。

年末年始にかけ、帰省や旅行などで人の動きが活発化すれば感染が一気に広がる恐れもあり、都は施設での「隔離」で感染拡大を阻止する構えだが、実際は濃厚接触者の大半が個別の事情から「自宅待機」を選択している。24日時点で都内の濃厚接触者は2167人だが、宿泊療養施設に入ったのは712人(予定者を含む)だ。

小池氏は「社会全体でウイルスと戦っている。宿泊療養施設に身を置くことが、家族や社会を守ることにつながる」と呼び掛ける。ただ、濃厚接触者は全国で多い日には数千人単位で日ごとに積み上がっている。14日間待機できる宿泊療養施設をどこまで確保できるかは、自治体によって事情が異なる。

岸田文雄首相が21日に濃厚接触者には原則として宿泊療養施設での待機を要請する方針を発表すると、神奈川県の黒岩祐治知事は「施設はあっという間にいっぱいになってしまう。受け入れ続けることは不可能だ」と懸念を示した。

成田空港を抱える千葉県は帰国直後の隔離期間中に空港周辺のホテルに滞在する入国者も多い。熊谷俊人知事は「全力を尽くしてもオーバーフローが十分考えられる」と指摘、濃厚接触者の範囲や待機期間の見直しなど継続可能な対応を求めている。