<独自>トヨタFCV「ミライ」快走 販売5600台

トヨタ自動車の燃料電池車「ミライ」の2代目(宇野貴文撮影)
トヨタ自動車の燃料電池車「ミライ」の2代目(宇野貴文撮影)

トヨタ自動車の水素で走る燃料電池車(FCV)「ミライ」の2021年1~11月の世界販売台数が約5600台に達したことが25日、分かった。20年12月に初代から性能が向上した2代目を投入。14年に発売した初代の累計販売台数約1万1000台の半数を約1年で超える快走を見せた。ただ、トヨタは海外勢に後れをとる電気自動車(EV)の強化へかじを切る。FCVは車種も少なく、ミライの「孤軍奮闘」が際立つ。

FCVは水素と酸素で発電し、走行時に温室効果ガスを排出しない。初代ミライは「究極のエコカー」として大きく注目されたが、生産能力が年3000台に限られ、累計販売台数は約1万1000台にとどまった。

2代目は燃料電池システムのコストを大幅に削減し、生産能力を10倍の年3万台に増強した。

1回の水素充塡(じゅうてん)で走れる航続距離は初代の1・3倍以上の850キロに伸ばした。低重心で全長は85ミリ長く、全幅は70ミリ広くして乗車定員を4人から5人に増加。価格も710万円からと、先代の約740万円より少し抑えた。

21年4月には、高速道路での車間距離維持や車線変更などをサポートする高度運転支援機能や、ソフトウエアを通信で自動更新できる機能を備えたモデルも発売した。

1~11月に国内で約2300台、国外で約3300台を販売したが、FCV市場の規模は小さい。日系メーカーのFCVの乗用車はミライと、ホンダが16年に発売した「クラリティ」の2車種のみだ。

次世代自動車振興センターによると、国内を走るFCVの乗用車は20年度末時点で5170台。EVの乗用車の12万3706台の半分に満たなかった。普及に欠かせない水素ステーションは、ガソリンスタンドの数倍かかる設置コストなどが壁となり、21年11月時点で全国に156カ所しかない。

トヨタは14日、30年にEVとFCVを合わせた世界販売台数を200万台とする従来目標を引き上げ、EVだけで350万台とする方針を示した。電動車の研究開発や設備投資にかかる8兆円のうち4兆円はEVに投じ、車種はEV専用ブランド「bZ」シリーズを含めて幅広く展開。高級車「レクサス」ブランドは35年に100%をEV化する。

FCVは多彩な選択肢をそろえる全方位戦略の重要なピースと位置付けるが、販売目標は示していない。

クラリティは21年8月に生産が終了。40年に世界販売の全てをEV、FCVとする目標を掲げるホンダは提携する米ゼネラル・モーターズ(GM)とFCVの研究は続けるが、EVが世界的に電動車の「主役」になりつつあるのは否めない。

ただ、FCVはEVと比べて航続距離を伸ばしやすく、長距離を走るトラックやバスに向いているとされ、トヨタは子会社の日野自動車、資本提携するいすゞ自動車とともに開発や実証を進める。FCVが乗用車以外で活躍の場を広げられるかも注目される。

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