北新地ビル放火殺人 80人態勢で遺族支援 大阪府警

現場のビル前で警備にあたる大阪府警の警察官=25日午前、大阪市北区(沢野貴信撮影)
現場のビル前で警備にあたる大阪府警の警察官=25日午前、大阪市北区(沢野貴信撮影)

大阪市北区曽根崎新地のビル4階のクリニックから出火し、25人が死亡した放火殺人事件で、大阪府警は約80人態勢で遺族や被害者の支援にあたっている。大半は「被害者支援班」に指定された警察官で、遺族らの心のケアや被害者支援制度に必要な手続きの説明といった役割を担う。

府警によると、被害者支援班の制度は平成13年に導入。府内の各警察署と府警本部の各部に所属する警察官を指定している。36人が死亡した令和元年7月の京都アニメーション放火殺人事件を受けて支援態勢が拡充され、現在は約1300人。このうち女性が約600人を占める。

支援の対象は殺人や強盗、わいせつといった事件のほか、重大な交通事故などの被害者や遺族。こうした事件などで実際に対応した経験のある警察官が指定されるケースが多いが、指定後に被害者支援についての講習なども受ける。

支援班は通常、発生地の警察署員が担うが、今回のように被害者が多い事件の場合は部署を超えて対応する。府警でこうした支援態勢がとられるのは、制度発足直後に起きた児童8人が死亡、教員を含む15人が重軽傷を負った大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件以降5例目という。

支援班の警察官は、通常は所属する部署の業務を担当。支援が必要な事件や事故が発生すれば、発生場所や遺族の居住地などを考慮して担当に指名される。支援内容は遺族や被害者の心のケア、刑事手続きや自治体の見舞金など被害者支援制度に必要な手続きの説明、遺体安置所への送迎など。民間の被害者支援センターなどへの橋渡しや、報道機関のメディアスクラムから守る役割も果たす。

犯罪被害者支援をめぐっては平成16年、被害者の権利保護を国や地方自治体の責務と明記した犯罪被害者基本法が成立した。京アニ事件で京都府警は当初、100人規模の被害者支援班を立ち上げ対応。大阪府警も支援班制度の運用を当初は各警察署に限定していたが、京アニ事件後の昨年10月から、最悪のケースに備えて府警本部の警察官にも指定を拡大していた。

今回の放火殺人事件では、大阪、兵庫、奈良、京都の4府県の計25人が亡くなっており、府警は各府県警とも連携を図っている。大阪府警幹部は「それぞれの遺族や被害者の置かれた状況を考慮しながら、寄り添って話を聴き、支援していきたい」と話した。