【モスクワ=小野田雄一】米国や北大西洋条約機構(NATO)がロシアによるウクライナ侵攻を警戒している問題で、ロシア軍の南部軍管区は25日、ウクライナ国境周辺を含む地域で「訓練」を行っていた部隊1万人以上を撤収させると発表した。インタファクス通信が伝えた。
プーチン露政権は今月、NATOは現状以上の東方拡大をせず、東欧諸国に展開中の軍備も撤収させる-などとする「条約」の締結をNATO側に提案。NATO側は応じられない内容があるとする一方、交渉には応じる意向を示している。今回の露部隊の撤収はこうした動きと関係している可能性がある。
発表によると、同軍管区は1カ月にわたり、ロシアが2014年に併合したウクライナ南部クリミア半島やウクライナ国境付近を含む地域で訓練を実施。「訓練は完了した。1万人以上の兵員が本来の配備地点に帰還中だ」とした。
ロシアは今年秋以降、ウクライナ周辺に9万人規模の兵力を集結させ、NATO側が侵攻を警戒。ロシア側は兵力集結の事実や侵攻の意図を否定する一方、自国内での部隊移動は自由だとも主張してきた。