首相「自ら判断」 政府代表団派遣見送り

北京五輪に政府代表団を派遣しない方針について記者団の取材にこたえる岸田文雄首相=24日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)
北京五輪に政府代表団を派遣しない方針について記者団の取材にこたえる岸田文雄首相=24日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)

政府は24日、来年2月から中国で開かれる北京冬季五輪・パラリンピックへの政府代表団の派遣を見送ると発表した。事実上の「外交的ボイコット」で米国などと足並みをそろえる。東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長と日本オリンピック委員会の山下泰裕会長、日本パラリンピック委員会の森和之会長が出席する。

岸田文雄首相は同日、官邸で記者団に派遣を見送る理由を問われ、中国当局による香港や新疆(しんきょう)ウイグル自治区などでの人権弾圧を念頭に、「国際社会における普遍的な価値である自由、基本的な人権の尊重、法の支配が中国でも保障されることが重要だと考えている」と述べた。その上で「これらの点を総合的に勘案し、自ら判断を行った」と説明した。

今回の対応を「外交的ボイコット」と表現するかどうかについては「特定の名称を用いることは考えていない」と述べるにとどめた。

政府内では中国側が今夏の東京五輪に苟仲文(こう・ちゅうぶん)国家体育総局長を派遣したことから、当初は外交上の「返礼」として北京五輪に政府高官などを派遣する案が取り沙汰されていた。

ただ、首相は人権問題を重視しており、かねて中国に対し懸念を表明。16日の参院予算委員会では「私自身の参加予定はない」と述べ、慎重な立場を示してきた。自民党内でも安倍晋三元首相ら保守系議員から中国への厳しい意見が噴出しており、首相は政府高官などの派遣は国内外の理解が得られないと判断した。

安倍氏は24日、首相の判断について「大変良かった。中国の人権状況に懸念を持つ同志国の戦列に日本も加わることができた」と記者団に語った。

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