勇者の物語~「虎番疾風録」番外編~田所龍一(377)

セ6パ5 「新規参入でチーム数維持」の声

ナゴヤドームに到着後、すぐに中日の落合監督(左)のもとを訪れ、話し合うヤクルトの古田=2004年9月
ナゴヤドームに到着後、すぐに中日の落合監督(左)のもとを訪れ、話し合うヤクルトの古田=2004年9月

■勇者の物語(376)

9月8日の臨時オーナー会議が迫ると、球界は急に慌ただしくなった。

【労組選手会】6日、臨時運営委員会を開き、近鉄とオリックスの合併の「1年凍結」を要求。認められない場合は「9月11、12日の2日間、ストを行う」と決定。

【12球団代表者】同日、臨時実行委員会で、ストが実施されれば各球団が損害賠償請求することで一致。

【西武とロッテ】7日、堤オーナーと重光オーナーが会合。その後の会見で「合併はない」と断言。

第2の合併は時間切れ。8日の臨時オーナー会議では以下の4つが決定した。

①オリックスと近鉄の合併を正式承認

②来季はセ6、パ5の11球団で行う

③セ・パ交流試合の導入を検討

④新規球団の加盟料60億円や譲渡球団の参加料30億円を緩和の方向で検討

各球団のオーナーたちはホッとした表情をみせた。ヤクルトの堀オーナーは「選手会とは互いに譲り合っていけば解決する」と語り、中日の白井オーナーも「選手会が納得する方向に近づいた。2リーグと加盟料の見直し。これでストをやる理由もなくなったんじゃないか」と笑みをこぼした。

その読み通り、10日に行われた労使交渉で選手会はストライキを回避した。だが、問題がすべて解決したわけではなかった。選手会の目標はあくまで「セ6パ6」の存続。とはいえ新規参入に手を挙げているライブドアに対し、経営者側がすんなりと「OK」を出すとは思えなかった。中日・落合監督がおもしろいアイデアをぶち上げた。

「セ6パ5の11球団では成り立たないことぐらい小学生でも分かる。交流試合を導入しても1週間に4日も試合のないチームが出る。もう、オリックスと近鉄の合併が覆らないなら、新規参入も認めてパを6球団に戻す。近鉄の選手は新規参入のチームに入る。その〝英断〟が下せるかだ」

実におもしろい案である。実際、新規球団の最大の課題は、選手をどう集めるか。だが、これを認めれば、合併球団の〝うまみ〟はなくなる。

「経営が苦しくなって合併するんだから、そこは球界のため、我慢すべきでしょう」。筆者は落合監督の提案に大賛成だった。(敬称略)

■勇者の物語(378)