香港中文大でも像撤去 自由奪われた大学を象徴

【香港=藤本欣也】香港の名門大、香港中文大当局は24日、大学の入り口付近に10年以上設置されてきた「民主の女神像」を撤去した。前日には香港大で天安門事件の犠牲者を追悼する彫像が撤去されたばかり。2020年6月の香港国家安全維持法(国安法)の施行後、学問・表現の自由が失われつつある香港の大学の現状を象徴している。

撤去された民主の女神像は、中国の民主化運動が武力弾圧された1989年の天安門事件の際、天安門広場に建てられた「民主の女神像」をモチーフにしたもの。2010年に大学の入り口付近に設置された。

香港で大規模化した19年の反政府・反中デモの際には学生側のスローガンが女神像に張り付けられるなど、民主化運動のシンボルの一つとなっていた。中文大は「無許可の像を撤去した」とコメントしている。

中文大ではデモが19年11月に警察当局に鎮圧された後、構内に監視カメラが多数設置された。学生によると、政治的に敏感な内容を含む講義では、講師が「私は中国を愛している」などと前置きしてから、慎重に発言するケースが多くなっているという。

また、嶺南大でも24日、天安門事件を象徴するレリーフが撤去された。香港では「一国二制度」の下、天安門事件の犠牲者を追悼する集会が毎年6月、ビクトリア公園で行われてきたが、警察当局は今年の開催を阻止。香港でも中国本土同様、天安門事件がタブーとなった形だ。

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