鬼筆のスポ魂

大谷翔平の進路に世界が注目…ロックアウト下でうごめく巨額契約交渉 植村徹也

シーズンを終え帰国して会見に臨む大谷翔平。水面下での巨額な契約交渉が進む
シーズンを終え帰国して会見に臨む大谷翔平。水面下での巨額な契約交渉が進む

26年ぶりの米大リーグ機構(MLB)のロックアウトの最中でも、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手(27)を巡る契約問題は水面下でうごめいている。

MLB所属の30球団オーナー陣が全会一致でロックアウトに突入したのが、2日の0時(米東部時間)。旧労使協定の失効期限までに新たな労使協定がまとまらなかったためで、ロックアウトの実施は1995年以来、26年ぶり。年俸調停権を得るまでの期間短縮やフリーエージェント(FA)権取得期間の短縮、メジャー最低年俸の引き上げなどが争点で、16日にはMLBと選手会がロックアウト後、初めての交渉を行ったものの膠着(こうちゃく)状態は解けず、交渉は越年した。

球界関係者は「経営者側と選手会の溝は深く、もつれている。ただ、両者ともに来シーズンの開幕は予定通りに迎えたいと思っているので、最終的には両者ともに折れて、2月末には妥結するだろう」と見通しを語っていた。

ところが、大リーグ内の全ての動きが〝凍結〟されている状況か…といえばそうではない。エンゼルス移籍(2018年)から4シーズン目の今季、投打の二刀流で世界を熱狂させた大谷を巡る契約交渉は深く、静かに進行中だ。大谷の契約代理人のネズ・バレロ氏は11月10日のGM会議出席の際、「われわれは契約や延長のことは話さないのがポリシー」と慎重な姿勢を示したが、エンゼルス球団との契約交渉は佳境を迎えている-と言っても過言ではない。

なぜならば、大谷は来季が2年契約(来季年俸は550万ドル=約6億1000万円)の最終年となり、2年後の23年オフにはFAとなる。つまり、エンゼルスとすれば後2シーズンでFA流出の危機を迎える。球団には2つの選択肢がある。

①FAまでに長期契約を締結する。

②FA流出となる23年オフまでの間に早い段階でトレードに出す。

①を選択した場合、エンゼルスが必要とされる条件は1年平均で年俸40億円の5~10年契約。大谷の同僚トラウトは契約を2年残した段階で、12年契約の総額4億2650万ドル(約473億円)でサインしている。大谷が今季残した成績は投手として23試合に登板し、9勝2敗。打者としては155試合出場で打率2割5分7厘、46本塁打、100打点。トラウトとの比較で見ても、相場は1年平均40億円以上だろう。

選択肢②の場合は来シーズン中のトレード移籍が視界に入る。大谷のトレード期限は23年の7月31日までだ。FA権を持っているので、トレード期限ギリギリだと新球団はすぐにFA権を行使されるリスクを伴う。長期契約を締結しない…と決断したならばエンゼルスは早い段階で他球団と交渉し、有利な交換条件を引き出そうとするだろう。

こうしたさまざまな選択肢を考慮した上で、ネズ・バレロ代理人とエンゼルス球団はロックアウト中でも水面下で話し合いを継続中だ。

もちろん、大谷自身の意向も最重要視される。大谷は今季中の会見で「エンゼルスに残留したい気持ちは?」と問われて「ファンの人も好きで、球団自体も好きではあるので…。ただ、それ以上に勝ちたいという気持ちが強いですし、プレーヤーとしてはそれの方が正しいんじゃないかと思っています」と答えた。7年連続でプレーオフ進出を逃したエンゼルスに〝不満〟を漏らした…と物議を醸したことがある。

ロックアウト後の来季はナショナル・リーグにも指名打者制が導入される。アメリカン・リーグではなくても投打の二刀流にとってはより良い条件がそろう。超大型契約の可能な資金力があり、常に優勝争いのできるチームと限定するならばヤンキース、レッドソックス、ドジャース、メッツ、ジャイアンツにブレーブスか…。ロックアウトという〝凍結〟の状況下でも、大谷翔平の進路は世界の興味の的なのだ。

(特別記者)