【ニューヨーク=平田雄介】新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」がもたらすリスクについて、英エディンバラ大と南アフリカ国立伝染病研究所(NICD)の研究チームがそれぞれ、「感染者が入院に至るリスクは従来の変異株よりもはるかに低い」とする研究結果を公表した。米欧メディアが22日伝えた。
エディンバラ大の研究は英スコットランドの540万人分のデータに基づく。オミクロン株感染による入院リスクは、デルタ株と比べて3分の2低かった。これとは別にNICDのチームが南アフリカのデータを基に公表した研究は、オミクロン株感染による入院リスクはデルタ株を含む他の変異株に比べて70~80%低いと指摘。スコットランドと同様の傾向が示された。
ただ、エディンバラ大の調査対象となったオミクロン株感染者は大半が20~59歳で、重症化リスクが高齢者と比べると低い年代の患者だった。南アフリカは人口の年齢の中央値が約27歳となっている。
一方、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは17日公表した論文で「重症化や入院のリスクに関しオミクロン株とデルタ株に違いがあるとの証拠はない」と指摘。いずれも初期段階の研究結果で、世界保健機関(WHO)は「結論に達するには時期尚早だ」ともしている。