成長率、来年度は3・2%増に上方修正 今年度は2・6%増に低下 政府 経済見通し

臨時閣議に臨む岸田文雄首相ら=23日午前、首相官邸(矢島康弘撮影)
臨時閣議に臨む岸田文雄首相ら=23日午前、首相官邸(矢島康弘撮影)

政府は23日、令和4年度予算案の前提となる4年度の国内総生産(GDP)成長率を、物価変動を除く実質で前年度比3・2%増、景気実感に近い名目で3・6%増とする経済見通しを閣議了解した。7月公表の年央試算に盛り込んだ実質2・2%増、名目2・5%増をいずれも上方修正。追加経済対策で個人消費などが活発化し、新型コロナウイルスの感染状況も落ち着いていることを想定した。

追加経済対策の実質GDP押し上げ効果(5・6%程度)の内訳は、3年度が1・5%程度、4年度が3・6%程度、5年度以降が0・5%程度としている。

4年度は、3回目が始まったワクチン接種の進展などで新型コロナの感染が抑えられ、追加経済対策で社会経済活動の正常化が進み個人消費や設備投資、雇用が改善するシナリオを描いた。個人消費は前年度比4・0%増、企業の設備投資は5・1%増と試算した。

これを受け、4年度の実質GDPは556兆8千億円に達し、平成30年度の554兆3千億円を超えて過去最高を更新すると見込んでいる。

一方、令和3年度の成長率は年央試算の実質3・7%増から2・6%増、名目3・1%増から1・7%増に、いずれも下方修正した。

年内に実質GDPがコロナ前の水準(元年10~12月期)に戻るという従来の予測は夏場のデルタ株による感染「第5波」の影響で後ろ倒しを余儀なくされ、4年1~3月期を念頭に「今年度中」と説明している。

こうした経済見通しは、24日に決定する4年度予算案の税収見積もりの前提となる。ただ、日本経済研究センターが15日発表した主要エコノミスト36人の民間予測平均では、4年度の実質成長率は前年度比3・03%増と政府見通しを下回っている。

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