重病の子供の居場所「ドナルド・マクドナルド・ハウス」 コロナ禍で寄付金不足

ドナルド・マクドナルド・ハウスの「せたがやハウス」=10日、東京都世田谷区(太田泰撮影)
ドナルド・マクドナルド・ハウスの「せたがやハウス」=10日、東京都世田谷区(太田泰撮影)

長引く新型コロナウイルス禍で募金活動やチャリティーイベントなどが以前のようにできず、苦慮する団体は少なくない。難病で治療を受ける子供の家族の滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウスせたがや(せたがやハウス)」(東京都世田谷区)では、クラウドファンディングで不足する運営費を募っており、担当者は「病気の子供や家族を安定して支え続けるため、サポートをお願いしたい」と話している。

同施設は世田谷区の国立成育医療研究センターに隣接し、自宅から離れた専門病院での治療を余儀なくされた病気の子供を持つ家族が利用している。宿泊費は1泊につき1人1千円。23のベッドルームのほか、キッチンやダイニングルームなどもある。

運営費は企業や個人からの寄付や募金などでまかなっている。また、約170人のボランティアが協力。施設の清掃や整備などを担う。

ところが新型コロナの流行でチャリティーイベントが次々と中止となり、利用者や施設に出入りするボランティアの人数も感染状況に応じて制限することに。ハウスマネジャーの峯田洋一さん(62)は「活動を縮小せざるを得ず、年間約3千万円かかる運営費のうち約400万円が不足している」と説明する。

運営費が不足する一方、新型コロナ禍でも、せたがやハウスは病気の子供や家族にとって必要不可欠な存在だ。

「本当に疲れていたときに、ほっと一息つけた。苦しい状況で土地勘もなく、買い物もどこですればよいかわからない。ここにいれば周りに相談でき、安心して子供のことに集中できる」と話すのは、せたがやハウス利用者の千葉県の本城綾子さん(42)だ。

難病のクルーゾン症候群の双子の子供たちに付き添う本城綾子さん。「ここは優しさをもらえる場所」と話した=16日、東京都世田谷区のドナルド・マクドナルド・ハウスせたがや
難病のクルーゾン症候群の双子の子供たちに付き添う本城綾子さん。「ここは優しさをもらえる場所」と話した=16日、東京都世田谷区のドナルド・マクドナルド・ハウスせたがや

本城さんは頭蓋骨の形成異常などが起こる難病の「クルーゾン症候群」の1歳の双子の息子たちに付き添っている。小さな体に点滴や注射の針が挿入されるたび、「代われるものなら代わりたい。でも代われないし、治療のためには必要なこと」と話す本城さん。こうした積み重ねですり減り、「空っぽになった心に、ハウスで優しさをもらっている」と笑顔を見せた。

ボランティアの清水ゆかりさん(63)はかつて、小児がんだった次男(25)が同センターに入院していた。東京の郊外に住んでいたため、せたがやハウスの利用は控えたが、その存在は心の支えになったといい、利用者には「明日のため、心と体を十分に休めていただきたい」と話す。

峯田さんは「せたがやハウスは20周年を迎え、20年間続けられたことへの感謝とともに、未来につなげていきたい」と強調した。

クラウドファンディングの募集は今月末まで。URLは(https://camp-fire.jp/projects/view/520025)。(小林佳恵)