容疑者、患者の避難妨害か 防犯カメラに火に向かう姿 大阪・北新地ビル火災

現場の雑居ビル4階部分の天井は黒く焼け焦げていた=22日午前9時20分、大阪市北区(鳥越瑞絵撮影)
現場の雑居ビル4階部分の天井は黒く焼け焦げていた=22日午前9時20分、大阪市北区(鳥越瑞絵撮影)

大阪市北区曽根崎新地のビル4階のクリニックから出火し、25人が死亡した放火殺人事件で、クリニックの防犯カメラ映像に、患者だった谷本盛雄容疑者(61)が、多数の患者らが逃げるのを妨げるように火の中に向かっていく姿が写っていたことが22日、捜査関係者への取材で分かった。事件当時、クリニック内には患者ら約30人が集まっており、大阪府警天満署捜査本部は、谷本容疑者が明確な殺意を持って多数の人を巻き添えにしようとしたとみて状況を調べる。

捜査関係者によると、谷本容疑者は17日午前10時20分ごろ、エレベーターで来院。クリニックに設置された防犯カメラには、谷本容疑者が受け付けを済ませるようなそぶりをした後、床に置いた大きな紙袋2つを蹴ってしゃがみこむと、紙袋から漏れ出したガソリンとみられる液体に着火。その後、燃え上がる炎に分け入り、奥の診察室の方へ向かった姿が記録されていた。

事件当時、クリニックでは職場復帰を支援する集団治療「リワークプログラム」が予定されており、患者やスタッフら少なくとも30人がいた。捜査本部は、谷本容疑者が出入り口側へ逃げず火の方向へ向かうことで、患者らが避難するのを妨害する意図もあった可能性があるとみている。

一方、ビル火災の約30分前には谷本容疑者の居住先だった大阪市西淀川区の住宅で火災が発生。捜査本部が現場検証したところ、ガソリンとみられる茶色系の液体がほぼ満杯入った容量約2リットルのプラスチック製容器が見つかった。消防の簡易鑑定では住宅2階の床付近からガソリンのような油分が検出されたが、焼損面積はごくわずかで、谷本容疑者が微量のガソリンを使って着火を試した疑いがある。

谷本容疑者は11月末、住宅近くのガソリンスタンドで「バイクに使う」などと虚偽とみられる申告をしてガソリン約10リットルを購入していた。捜査本部は、谷本容疑者がガソリンとみられる液体を容器に小分けし、紙袋に隠して火災現場に持参したとみて、事件までの行動を詳しく調べている。