街行く路面電車

「坊っちゃん」を追体験 伊予鉄道市内電車

2両の客車を引いて走る坊っちゃん列車
2両の客車を引いて走る坊っちゃん列車

松山市は平野の中心部に松山城がある城山を抱える。街の足の路面電車、伊予鉄道市内電車(伊予鉄)は城山を囲むようめぐり、山裾にある道後温泉まで路線を延ばす。走る車両は愛媛特産の柑橘類をイメージした、濃いオレンジ色だ。このなかに平成13年からSL風車両が仲間入りした。明治から昭和初期にかけ活躍したSLの外観を模したディーゼル機関車だ。

伊予鉄道市内電車が行き交う市街地。小柄な坊っちゃん列車やオレンジ色の車両が、街を賑わせている=愛媛県松山市(大街道―勝山町間)
伊予鉄道市内電車が行き交う市街地。小柄な坊っちゃん列車やオレンジ色の車両が、街を賑わせている=愛媛県松山市(大街道―勝山町間)

「乗り込んでみるとマッチ箱のような汽車だ。ごろごろと五分ばかり動いたと思ったら、もう降りなければならない」

イチョウ並木を走る坊っちゃん列車
イチョウ並木を走る坊っちゃん列車

これは松山を舞台にした夏目漱石の小説『坊っちゃん』にある記述。主人公がSL汽車に乗った場面だ。伊予鉄は、このイメージでマッチ箱のような客車も再現、「坊っちゃん列車」と命名した。今は、オレンジ色の車両に交じって、機関車が2両の客車を引いて市内を走る。

坊っちゃん列車の終点での転換作業。観光客にも注目されるシーンだ
坊っちゃん列車の終点での転換作業。観光客にも注目されるシーンだ

路線の東端の道後温泉駅から坊っちゃん列車に乗った。ポーッと甲高い汽笛がなると、ガタガタと車体を揺らし進む。車掌の大政貴寛(おおまさたかひろ)さん(36)は「レトロな内外装を満喫してもらい、明治時代にタイムスリップした気持ちになっていただければ」と話す。

見頃を迎えたイチョウの脇を走る坊っちゃん列車
見頃を迎えたイチョウの脇を走る坊っちゃん列車

漱石の言う通り、「ごろごろ」と動き、立つとカメラを構えるのが大変なほど揺れる。そして、あっという間に終点の松山市駅だ。もう降りなければならない、と思うのも『坊っちゃん』そのままだった。

(写真報道局 永田直也)

坊っちゃん列車からの車窓。乗務員が街行く人に手を振っていた
坊っちゃん列車からの車窓。乗務員が街行く人に手を振っていた


イルミネーションが灯る繁華街を行く路面電車
イルミネーションが灯る繁華街を行く路面電車
松山市内を行く坊っちゃん列車。左上は松山城
松山市内を行く坊っちゃん列車。左上は松山城
夜の市街地を行く路面電車。左上は観覧車「くるりん」
夜の市街地を行く路面電車。左上は観覧車「くるりん」

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