日本海溝・千島海溝地震で経済被害31・3兆円 企業、事業継続力の高度化図る

首相官邸の外観=東京都千代田区(鴨志田拓海撮影)
首相官邸の外観=東京都千代田区(鴨志田拓海撮影)

政府は21日、北海道から東北地方の太平洋沖にある日本海溝・千島海溝沿いでマグニチュード9級の巨大地震が起きた際、経済被害は最大の場合、全国で31兆3千億円に及ぶとの推計を公表した。南海トラフ巨大地震や首都直下地震のリスクもある中、企業は大規模災害に備えて平時から事業継続力やリスクマネジメントの高度化に取り組む。10年前の東日本大震災で重要性が注目された「事業継続計画(BCP)」は大企業を中心に策定が進んでいる。

東北電力は、宮城県の女川原発と青森県の東通原発が太平洋側にある。女川2号機は再稼働に向けた地元同意を得ており、東通1号機は原子力規制委員会の審査が続いている。女川2号機、東通1号機とも現在は安全対策工事に取り組んでおり、それぞれ令和4年度と6年度の完了を目指している。津波対策としては、女川原発では海抜約29メートルの防潮堤の工事を進めており、東通原発では海抜約16メートルの防潮堤を設置済みだ。

日本製紙は、東日本大震災の津波で石巻工場(宮城県)が大きな被害を受けるなどした。当時の経験も踏まえ、地震や台風などで被災した場合でも製品の安定供給を維持するため、在庫管理や他拠点での代替生産を通じて影響を最小限に抑える対策を講じている。

流通企業も対応を強化。イオンは、災害発生後に早期の営業再開ができるよう全国の店舗で自家発電設備の導入を進めているほか、本社がある首都圏での被災に備えて平成26年には愛知県小牧市に危機管理センターを設置した。水や乾麺、衛生用品など緊急時に必要な商品は物流倉庫での在庫水準を常時高めている。

BCPについては、内閣府による令和元年度の実態調査では、大企業では68・4%、中堅企業では34・4%が「策定済み」と答え、東日本大震災前の平成21年度(それぞれ27・6%、12・6%)から大きく上昇。ただ、経営資源で見劣りする中小企業はこれらほど進んでいないとみられる。

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