主張

香港の議会選 「民主」を名乗る資格ない

香港立法会(議会、定数90)選挙の投開票が行われ、親中派が議席をほぼ独占した。

習近平政権主導で、選挙から民主派を排除する仕組みに変更した結果がこれである。まやかしの選挙というほかない。

投票率は5年前の前回選挙からおよそ28ポイントも下がり、過去最低の30・2%となった。

香港政府は、投票日の公共交通機関の運賃を無料にするなど投票率向上を目指した。白票を投じるよう呼びかける運動には禁錮3年の刑罰を用意した。それでも、約7割の市民が投票所に足を運ばなかった。偽物の選挙への抗議が示された結果といえる。

香港の民意は今も、真の民主を求めている。日本を含む国際社会は、香港の自由と民主を奪う強権統治を容認してはならない。

今年5月に変更された議会選の仕組みは、親中派を徹底的に利するものだ。定数を70から90へ増やしたが、民主派に有利な直接選挙の枠を35から20へ減じた。

立候補の際には資格審査委員会で「愛国者」と認定されることと、親中派でつくる「選挙委員会」の委員10人の推薦が必要となった。

中国共産党政権とそれに従う香港政府を批判する民主派は、決して「愛国者」とみなされない。民主派の立候補を封じる理不尽な仕掛けである。

信念を曲げることを潔しとしない民主派は立候補しなかった。今回、親中派以外で当選できたのは中間派の1人だけである。

中国本土の疑似議会機関である全国人民代表大会(全人代)は共産党政権の議案を承認するだけの「ゴム印」と揶揄(やゆ)される。日本や欧米各国の議会は、全人代化した香港議会との交流を見直すべきである。

中国政府が20日に公表した香港に関する白書は、「選挙制度を含むどのような政治体制を香港で実行するかは、完全に中国の内政」問題だと主張した。

だが、香港は1997年の返還時に、2047年までの50年間、高度な自治が許される「一国二制度」が約束されていたはずだ。

中国政府は最近、中国にも民主があると主張したが、受け入れられない。中国政府が「一国二制度」の国際約束を踏みにじり、香港の民主を圧殺するようでは世界の誰からも信頼されまい。