--自国通貨を創造できる国家には歳出の予算制約はない、高いインフレでない限りは財政赤字自体には何の問題もないという、財政論理は正しいと思うか
「財政についてはいろいろな考え方があり、いろんな議論があると承知しています。私自身の考え方としては、これはもう従来から申し上げているように、財政は国の信頼の礎あり、中長期的に財政健全化に取り組む必要があると考えています。
そして、いろんな議論がある中で、この自国通貨建ての国債を発行する国の政府はいくらでも国債を発行することが、発行して支出することができる。こういった意見の方もおられると承知をしてはおりますが、ただ、政府としてはこうした考え方はとってはおりません。先ほども申し上げましたが、ぜひ、この順番を間違えてはならない。新型コロナウイルス禍を乗り越えて経済を再生し、そして財政健全化を考えていく。こういった道筋をしっかりと大事にしながら、財政健全化についても考えていきたいと思っています」
--広島原爆による「黒い雨」被害者救済についてはどのような考えか。被爆者が望んでいる核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加についての考えは
「まず、この黒い雨訴訟に関する判決に関することですが、今後の被爆者健康手帳の認定の方針について、これまで広島県、広島市、長崎県、長崎市、そして厚生労働省、こうした関係者での協議、2回行われたと承知をしています。そして、12月8日の協議において厚生労働省から基本的な考え方をお示しし、参加した広島市などからさまざまな意見をいただいたと聞いております。そして、次回の協議において、国としての方針を示すことになっていると承知をしています。この件につきましては、被爆者が高齢化していることを踏まえて早急に次回協議を実施し、遅くとも令和4年度当初には可能な限り多くの方の救済を開始できるよう、スピード感を持って取り組んでいかなければならないと認識をしております。
それから2問目の核禁条約オブザーバー参加の話でありますが、この私の考え方は先日の予算委員会の審議の中でも申し上げた通りであります。核禁条約、これは核兵器のない世界を目指す上で、出口に当たる大切な条約だと思いますが、残念ながら、この核兵器国は一国も参加していない、こういった状況にあります。外相を4年8カ月経験する中で、核兵器のない世界に向けて現実を動かしていくためには、現実に核を持ってる国、これが変わらなければ何も現実は変わらないという思いを強く持っておりました。よって、わが国としては唯一の同盟国である米国、世界最大の核兵器国である米国、これを動かしていく。こうした努力をしていくことが唯一の戦争被爆国の責任として重要であると認識をしています。
そして、まずは米国との信頼関係をしっかり核兵器のない世界に向けて築いた上で、さまざまな活動を考えていくべきであるということを申し上げています。だから、それができる前にオブザーバー参加ということについては、わが国としては慎重でなければならないというのが私の考え方であります。
そして先日、米国からオブザーバー参加しないようにという要請を受けたというご指摘がありましたが、この日米の間でどういったやりとりをしているのか。これについては、結論についてはしっかりと、その外交上の国民の皆さんに説明するというのが常識ですが、それまでのやりとりとか経緯について何か申し上げるのは控えなければならない、これが相手国との関係、外交の常識であると認識をしています。よって、具体的なやりとりについては申し上げませんが、この米国との間において緊密に意思疎通を図って信頼関係を作っていく。これはトップの間だけではなくして、あらゆるレベルでこうした意思疎通を図っていく。こうしたことは大事なんではないかと考えます。以上です」