岸田首相記者会見詳報

(5)外遊「まずは日米首脳会談の実現に全力」

会見に臨む岸田文雄首相=21日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)
会見に臨む岸田文雄首相=21日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)

=(4)から続く

--世論にバラマキ批判や財政規律の緩みを懸念する声が増え始めている。国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)は今年度中に令和7年度の黒字化目標を再確認するというが、余程のことがない限り、この目標年度を確認するために検証作業するということか。

「財政についてですが、まず今は新型コロナという危機の最中にあり、必要な財政支出は躊躇なく行い、万全を期さなければいけない。こうした段階にあると思います。そういった思いで大規模な経済対策を用意したということであります。そして、経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない。こういったことは再三申し上げております」

「他方、足元で新型コロナ対策あるいは経済対策を行うということ。これは中長期的に財政健全化に取り組むことと決して矛盾はしないと考えています。まずは新型コロナの危機を乗り越え、そして日本の経済をしっかり立て直す。そして、その上で財政健全化についても考えていく。こうした順番で取り組んでいくというのが基本方針であります」

「こうした考え方、先日自民党において総裁直属の財政健全化推進本部を創設し、私自身第1回の役員会に出席いたしましたが、今申し上げた基本的な考え方は、申し上げさせていただいたところであります。そして、プライマリーバランスの黒字化目標。骨太方針2021に書いてあるように、本年度内に目標年度を再確認するという方針でありますが、余程のことがないと伸ばさないのかというご質問であったと思いますが、これはもうここに書いてある通りでありまして、目標年度を本年度内にしっかり議論をして、そしてこの必要な検証を行い、この目標年度について再確認をする。こうした取り組みを進めていきたいと考えております。ここに書いてある通り。これ以上でもこれ以下でもありません。以上です」

--(自殺した)近畿財務局職員の遺族が起こした損害賠償訴訟について、国は一転して賠償責任を認めた。真相究明を求めていた遺族から落胆の声があがっている。首相は自ら対応するつもりはないか。第三者委員会の立ち上げなどを行うか。

「ご指摘の点については、今回の訴訟、財務省において裁判所の訴訟指揮に従って訴訟を進め、そして損害賠償の賠償請求。これを全面的に認めたというものでありました。14日の日に、私自身財務省から報告を受け、損害賠償責任を認めるということを承知したということであります。森友学園問題については、私自身首相に就任して以来、財務省には裁判所の訴訟指揮に従って丁寧に対応するよう指示し、そして、今回の報告に当たっても、今回どういったこれまでどういった取り組みをしてきたのか。いわゆる『赤木ファイル』の提出をはじめですね、財務省のこうした説明努力について、今一度確認した上で2つ指示を渡しました」

「1つは今回の損害賠償に関する訴訟とは別に、情報公開に関する訴訟が行われています。もう別の訴訟が継続中でありますので、別途の訴訟について引き続き丁寧に対応すること。そしてあわせてさまざまな場において、今後とも真摯に説明を尽くしていく。こうしたことを指示した次第です。私自身も今後ともこの問題に真摯に向き合っていく、説明責任を果たしていくべく努力をしていかなければならないと思っています。以上です」

--訪米日程がなかなか決まらない理由は。来年1月召集の通常国会までに決まらない場合、他国への外遊も考えるか。

「まず、日米同盟はわが国の外交安全保障の基軸であり、米国のトップ、バイデン大統領と早期に対面でお会いし、さまざまな課題について思いを共有する。あるいは個人的な信頼関係を醸成していく。これは極めて重要な課題であると認識しています。そういったことから、すでにCOP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)の際にお会いした際に、できるだけ早期に訪米して、首脳会談を持ちたいということを申し上げているわけです」

「そしてその後、調整は続いていますが、米国の国内における政治のさまざまな動き。さらに米国においては、今新規感染者の7割がオミクロン株であるということが報じられている。変異株の状況は大変深刻な状況にあるようであります。こうしたさまざまな状況の中で、調整が引き続き続いているということであります。引き続き、この調整を続けて、いずれにせよ、できるだけ早く、日米首脳会談は実現したいと思っています」

「それ以外の国について考えているのかというご質問ではありましたが、まずは日米首脳会談、実現に向けて全力を尽くした上で、考えることであると思います。まずは日米に向けて最大限努力をしていきたいと思っています」

=(6)に続く

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