岸田首相記者会見詳報

(8)10増10減「改定法案、粛々と国会に提出」

会見を行う岸田文雄首相=21日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)
会見を行う岸田文雄首相=21日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)

=(7)から続く

--本日、内閣府が日本海溝・千島海溝地震で最大19万人が亡くなるという被害想定を公表した。ただ、津波避難タワーを整備することで約8割の被害を抑えるとされているものの、現行の特別措置法ではタワーなどを整備する財源の裏づけがない。財源措置には特措法の改正が必要になると思うが、来年の通常国会で取り組む考えはあるか

「ご指摘の日本海溝・千島海溝で起きる巨大地震の被害については、今回公表された最大死者数約19万9000人という被害想定、これ最大クラスの地震が発生した場合における最悪のケースであると承知をしています。東日本大震災の教訓を踏まえ、何としても命を守ることを主眼として防災対策を検討するために推計したものであると承知をしています。

重要なことは巨大地震が発生した際に起こりうる事象を正しく恐れるということであり、防災教育、訓練の充実、避難路・避難施設の整備、この防災対策を徹底することによって被害を大幅に減らすことができる、こうしたことも今回のこの報告の中に含まれているということであります。

そして、(被害を)減らすために今、ご指摘があったようにさまざまなこの設備インフラが必要であるということで、財源が確保できるのかというご質問だったわけですが、人の命や暮らしを守る、これはもう政治にとって最も大切な課題であり、使命だと思っています。そのために必要なものがあるとしたならば、当然のことながら法改正をしてでも用意するということなんだと思います。実際、何が必要なのか、何が求められるのか、ここについては今一度しっかり確認をしたいと思いますが、一般論として申し上げるならば、今申し上げた通りではないかと思います。

今回発表された被害想定を踏まえて中央防災会議のもとに設置したワーキンググループにおいて最終報告をまとめ、防災・減災対策を着実に進められるよう、今後、速やかに必要な措置を講じていくとされておりますので、その過程の中で何が必要なのかしっかりと検討し、国民の皆さんの安心につなげていきたいと思います。以上です」

--選挙関連だが、「一票の格差」を是正するいわゆる衆院選挙区の10増10減について、地方の声がより国政の場に届きにくくなるのではないかというような指摘がある。先日、自民党でも会合で3増3減という案も出たようだが、首相は10増10減の定数配分を予定通り次の衆院選に向けて進めるべきだと考えるか。地方選出の国会議員が減っていくことになれば、一段と過疎化が進んだり、都市と地方の偏在が進んだりする懸念もあるが、そういう危惧についてどのように考えるか

「おっしゃるように、定数についてはさまざまな議論があります。まさに自民党の憲法改正4項目のたたき台素案の一つは、この一票の格差の問題について問題提起したものであると思います。こうした議論はあるんだと思いますが、ただ政府の立場から言いますと、現行の法律をしっかりと履行し、対応していかなければならないと思います。

2016(平成28)年に議員立法で改正された衆院議員選挙区画定審議会設置法、これでは大規模な国勢調査が実施された場合の都道府県別定数配分の計算方式として、いわゆるアダムス方式が規定されている。そして、それを2020(令和2)年の国勢調査に当てはめた場合に、10増10減となって、そして来年6月までに関係審議会が区割り画定案を勧告する、こういったことになっていると承知をしています。

政府としては、その勧告に基づく区割り改定法案を粛々と国会に提出するというのが現行法に基づく対応であると認識をしております。2016年のこの設置法の改正案も議員立法でありますので、さまざまな議論があるのかもしれませんが、政府の立場から申し上げるならば今言った姿勢で、法律に基づいて取り組んでいくことを想定してるということであります。

=(9)に続く

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