巨大地震 低体温症要救助者最大4万2千人想定

政府が公表した日本海溝と千島海溝沿いの巨大地震による被害想定では、被災地域に寒冷地が多いことを踏まえ、低体温症での死亡リスクがある被災者が日本海溝型で最大4万2千人、千島海溝型で同2万2千人に上るとの推計も示された。産経新聞の取材では沿岸101市町村のうち、51市町村は屋外の指定緊急避難場所に毛布などの防寒用備蓄がないことが判明。特に真冬の地震発生に備えた対策の促進が急がれる。

北海道と東北4県の計101市町村のうち、屋外に指定緊急避難場所がない6自治体を除き、防寒用備蓄を「している」か「一部の場所でしている」としたのは44市町村、「していない」と答えたのは51市町村あった。

具体的な対策として、北海道浦幌(うらほろ)町では屋外避難場所にコンテナを設置し、ポータブルストーブや毛布などを保管。平成23年3月の東日本大震災で津波被害を受けた宮城県南三陸町や仙台市などでは雨風をしのぐテントを準備している。

一方、備蓄がないとした自治体の中には「屋外に倉庫を置く場所がない」「近隣の役場から毛布などを運ぶことになっている」などとするところがあった。

津波から逃れ、高台へ避難できたとしても、浸水や道路の遮断で他の場所へ移動できず、屋外で長く過ごすことになれば低体温症のリスクは高まる。津波で服がぬれた場合や、雪が降っている場合などでは、より深刻な状況になる。

東北大災害科学国際研究所の門廻充侍(せと・しゅうじ)助教(津波防災)によると、東日本大震災時に宮城県内の低体温症の死者は22人で、うち16人が70代以上の高齢者だった。一方、低体温症で治療を受けた人の多くは乾いた服に着替えさせたり、毛布やストーブで体を温めたりするなど比較的簡単な方法で回復したという。

政府は屋外での低体温症発症に注目しているが、門廻氏は、東日本大震災では屋内で死亡した人の方が多かったと指摘。「低体温症の知識があるだけで、ある程度リスクを下げることができる。屋内避難所でもコンクリートの床に直接座れば冷える。段ボールを1枚敷くだけでも対策になる」と話した。

>日本海溝・千島海溝の巨大地震 被害想定の全容(PDF)