瞬時に迫る煙 火災で命を守るための行動とは

火災現場を調べる消防隊員ら=17日午前、大阪市北区
火災現場を調べる消防隊員ら=17日午前、大阪市北区

大阪市北区曽根崎新地のビル放火殺人事件では、出火から30分足らずで火がほぼ消し止められたにもかかわらず、25人もの尊い命が失われた。急激な燃焼と黒煙の充満により、わずかな時間で視界を奪われたとみられ、逃げ道をなくした人たちが相次いで一酸化炭素中毒に倒れた。こうした火災に巻き込まれた場合に、自らの命を守るにはどう行動すればいいのか。

36人が犠牲になった令和元年7月の京都アニメーション放火殺人事件を受け、京都市消防局は翌年3月、ガソリンを使った放火など「最も厳しい状況」を想定した「火災から命を守る避難の指針」を策定した。

指針によると、火災に遭遇したときは、まず階段で屋外に向かうのが基本。しかし煙が充満して階段を使えなければ、窓やベランダのある場所に移動する。

2階でロープやはしごがなければ、飛び降りることが最終的な選択肢となる。ただ、そのまま身を乗り出してジャンプするのではなく、窓枠から外にぶらさがり、足を伸ばしてから手を離すようにする。地上までの距離が縮まり、けがのリスクを減らせるからだ。室内にある布団やクッション、ソファなどを地面に投げ、落下時の緩衝材とする方法もある。

3階以上になると飛び降りることはできないため、「一時避難スペース」の確保が求められる。扉でほかの部屋と区切られ、かつ外に面した窓がある部屋に逃れ、テープやティッシュで扉の隙間を目張りして煙の流入を防ぐのだ。

それでも煙が入ってくれば、窓の外に顔を出し、外気を吸うことが望ましい。煙は窓の上部から外に上がっていくため、腰を「く」の字に曲げて顔を下に向けることで煙の吸引を少しでも減らせる。

煙が充満した場所でも、パニックにならず思考をめぐらせることが重要だ。煙はまず天井付近にたまってから次第に下がってくる特性があることから、タオルや服で口と鼻を覆いながら、煙の侵食具合に応じてかがみ腰▽アヒル歩き▽四つんばい-と姿勢を下げて避難する。

息を止めるのは禁物。一回で多くの煙を吸ってしまう恐れがあるため、浅い呼吸を続ける。煙で視界を奪われても、部屋の床や壁の隅には、まだ空気が残っている可能性が高い。床や壁に手を当てて自分のいる場所を確かめながら、はうように移動すれば、助かる可能性は上がる。

衣服に火がついたときは、その場に寝転び、目や口、鼻をおさえながら転がって消火するのが望ましいとしている。

防犯ジャーナリストの梅本正行氏は「建物に入ればまずは避難方法を確認することを習慣にする必要がある」と指摘。家族や友人と「ここで火災に遭ったらどうする」といった会話をしながら、知識を身に付けるのも効果的という。