原材料高騰も進まぬ価格転嫁 イオンはPB価格据え置き延長

プライベートブランド商品の価格据え置きを打ち出す売り場=21日午前、千葉市のイオンスタイル幕張新都心(加藤園子撮影)
プライベートブランド商品の価格据え置きを打ち出す売り場=21日午前、千葉市のイオンスタイル幕張新都心(加藤園子撮影)

食品業界などが、資源高と節約志向の板挟みになっている。商品価格の値上げは広がりつつあるが、仕入れ価格の上昇分を十分に販売価格に転嫁し切れていないのが現状だ。消費者と直接接点を持つ「川下」の小売りでは競争環境も激しく、価格転嫁を踏みとどまる企業もある。海外に比べ日本は値上げにつなげにくいとみる向きもあり、各社が頭を抱えている。

「価格転嫁せず、生活応援を続けていく」。小売り大手イオンの西峠泰男執行役は21日記者会見し、プライベートブランド(PB)の価格を来年3月末まで値上げしないと発表した。対象商品は食品や日用品約5千品目。販売量の拡大やデジタル化によるオペレーションの改善で、コスト分を吸収するという。

イオンは今月末までの価格据え置きを実施しており、これを3カ月延長する形だ。既にメーカー品から需要がシフトし、価格を維持したPBの売り上げは前年比で約2割増、食用油や小麦粉類に限ると5割以上の増となった。西峠氏は「消費者の最大の基準は価格。(スーパー間の)競争も激しい」と説明する。

日銀が13日発表した企業短期経済観測調査(短観)では、仕入れ価格について「上昇」と答えた企業の割合から「下落」の割合を差し引いた判断指数は、大企業の製造業が9月の前回調査から12ポイント上昇の49、非製造業が8ポイント上昇の25。販売価格の判断指数は製造業が6ポイント、非製造業が4ポイントの上昇にとどまる。仕入れ費が増す中で販売価格への転嫁が進まない姿が浮かぶ。

キユーピーは食用油の高騰などを受け、来年3月からマヨネーズなどの値上げを決めている。鶏卵や容器のコストも上がっているが、これら分は今回の値上げには反映させず「経費削減など企業努力で吸収する」(広報)と話す。

企業トップも国内の価格転嫁の動きが鈍い状況を実感しているようだ。一部商品を値上げした味の素の西井孝明社長は「日本の流通さんは自分のところの売価を上げない。僕らは値上げを受け入れていただきありがたいが、大丈夫なのかなと思う」と語る。

ハウス食品グループ本社の浦上博史社長も、海外では「価格改定できる感触が得られる」とする一方「なぜ日本のマーケットはこんなに上げられないのかと(思う)。負のスパイラルを逆回転していくことが必要だ」と述べている。米国では既に値上げしたが、国内はまだ「答えが出ていない」という。

今後も転嫁が進まず企業の収益が圧迫されれば、賃金などに影響が広がるおそれもある。流通業界に詳しい日本経済大の西村尚純教授は「コスト高の中で安さを追求してばかりでは消耗戦になる。安さイコール企業の信頼性という見方が変わっていかなければならない」と指摘している。(加藤園子)