英政権の求心力低下 オミクロン株拡大、規制強化に壁

12日、新型コロナウイルスのワクチン接種について国民向け演説を収録するジョンソン英首相 (ロイター)
12日、新型コロナウイルスのワクチン接種について国民向け演説を収録するジョンソン英首相 (ロイター)

【ロンドン=板東和正】新型コロナウイルスの変異株オミクロン株による死者が英国内で相次ぎ確認される中、ジョンソン英政権は同株を抑制するため規制強化を検討している。しかし、コロナ規制をめぐる不祥事が続き、政権の求心力が急激に低下。与党内で国民の反発を懸念して規制強化に反対する動きも強まり、政権が厳しい行動規制に踏み切りづらい状況に陥っている。

英保健当局によると、オミクロン株の新規感染者は18、19日の2日連続で1万人を超えた。20日の新規感染者は約8千人とやや下降したものの、累計で4万5145人に上った。

オミクロン株は重症化率が低いとの指摘がある一方、20日までに英南部イングランドで同株による死者数が14人、疑いのある症例を含め入院者数が129人確認されている。英保健当局の関係者はロイター通信に「(同株の影響で)コロナの入院者数が過去最悪になる恐れがある」と警告した。

ジョンソン首相は20日、「国民を守るため(規制を強化する)行動を躊(ちゅう)躇(ちょ)しない」と強調した。英紙タイムズなどによると、クリスマス明けに2週間、屋内で同居人以外との集まりを禁じる方針が検討されている。

ただ、ジョンソン政権が規制強化を実現できるかどうか不透明だ。屋内での他世帯との交流が原則禁じられていた昨年12月、首相官邸でクリスマスパーティーが開催された疑惑などを英メディアが連日報じている影響で、ジョンソン氏が党首を務める英与党・保守党の支持率が低迷。16日実施の下院の補欠選挙では、保守党が200年近く議席を守ってきた選挙区で野党候補に敗れた。

保守党内では、支持率のさらなる低下を恐れる議員らがジョンソン氏のコロナ規制に反発する動きを強めている。14日には、ナイトクラブなどの入場時にワクチン証明書の提示を義務付ける政府案をめぐる英下院の採決で、90人を超える保守党議員が反対票を投じた。可決されたとはいえ、ジョンソン政権下で最大の造反となり、求心力の低下が露呈した。

さらに、ジョンソン政権で欧州連合(EU)離脱後のEUとの交渉を率いてきた重要閣僚が18日、政権に不満を示して辞任を表明。英紙テレグラフによると、17日時点で10人程度の保守党議員がジョンソン党首への不信任投票を行うよう求めた。

欧州各国では、オランダが19日にロックダウン(都市封鎖)を導入するなど規制強化の動きが目立つ一方、英国は出遅れている。最大野党・労働党のスターマー党首はコロナ対策を進める上で「ジョンソン氏の指導力はあまりにも弱い」と力説。政権への攻勢を強めている。