香港立法会選 投票率は史上最低へ 新選挙制度に「不信任」

19日、香港で、立法会選の投票をする林鄭月娥行政長官(AP)
19日、香港で、立法会選の投票をする林鄭月娥行政長官(AP)

【香港=藤本欣也】香港立法会(議会、定数90)選の投票が19日、行われた。「愛国者による香港統治」を目指す中国の主導で選挙制度が変更されてから初の大型選挙だったが、投票率は立法会選史上最低を記録する見通しだ。民主派を排除する新選挙制度は事実上、有権者から不信任を突きつけられた形となった。

大部分の投票は午後10時半(日本時間同11時半)に締め切られたが、午後9時半現在の投票率は29・3%と、これまでで最低だった2000年の立法会選の投票率43・6%を大幅に下回っている。

立法会選は即日開票され、20日午前中にも暫定結果が発表される。ただ、5月に選挙制度が大幅に変更されたことを受け、民主党など民主派の主要政党は候補者擁立を見送っており、親中派の圧勝は確実だ。

この日、投票を済ませた林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は報道陣に、「選挙制度が改善されてから最初の選挙だ」として「意義は非常に大きい」と強調していた。

今回の立法会選は、新選挙制度に対する信任投票の意味合いがあっただけに、19日の公共交通機関の運賃を無料にするなど、香港政府は投票率アップに努めた。しかし市民の6割が民主派支持とされる中、民主派が事実上排除された選挙戦は盛り上がりに欠けたまま投票日を迎えた。

実際、「自らの投票で議員を選びたいのに、すでに選ばれる議員が決まっているような選挙はおかしい」(45歳男性)「選びたい候補がいない」(22歳男性)として、投票しなかった市民が少なくなかった。

政府はさらに、白票を呼びかける行為も禁止して選挙に臨んだ。違反すると最高で禁錮3年となる。投票所で白票を投じる行為さえも罪に問われかねない雰囲気が醸成される中、市民が新たな選挙制度に反対の意思を示すには「投票しない」ことしか方法がなかったともいえる。

今回、資格審査委員会から「愛国者」と認定され、立候補できたのは153人。ほとんどが親中派で、自称・民主派や中間派など非親中派は13人程度にとどまる。

新たな選挙制度の下、立法会選に立候補するには、①親中派で構成される選挙委員会のメンバー10人以上の推薦を得る②資格審査委員会で「愛国者」と認定される-ことが必要となり、民主派の出馬は困難になっていた。