「仲間の分まで生きる」 悲しみこらえ捧げる祈り

現場のビル前で手を合わせる女性=20日午後5時21分、大阪市北区(須谷友郁撮影)
現場のビル前で手を合わせる女性=20日午後5時21分、大阪市北区(須谷友郁撮影)

大阪市北区曽根崎新地のビルの4階で17日に起きた火災で犠牲になった24人の身元が明らかになってきた。大阪府警天満署捜査本部は20日までに、死亡した24人のうち21人の身元を公表。多くは火元となったクリニックの患者で、事件当日に開かれていた集団治療「リワークプログラム」の参加者も含まれていた。社会復帰を目指して支え合い、励まし合ってきた仲間を失った患者も次々に現場を訪れ、悲しみをこらえながら祈りをささげている。

「どうしてこんなことが起こったのか。言葉にならない」

10月からリワークプログラムに通っていた大阪府内の男性(34)は20日、現場に花を手向け、そっと手を合わせた。

男性によると、クリニックでは事件があった金曜日を含めて週に4日、プログラムが開かれていた。専門家の講義のほか、参加者同士が語り合うグループワークの時間もあり、参加者同士の仲は自然と深まっていった。

事件から2日が過ぎた19日、身元が公表された犠牲者の中に、プログラムの仲間3人の名前を見つけた。プログラム以外での接点はなかったが、共通の話題を見つけ、意気投合した人もいた。

「実家が近いね」「おすすめのラーメン屋さん教えてくれませんか」「ダイエットしなきゃ」-。時にたわいのない会話を交わし、時に冗談を言い合った。男性が今月13日にプログラムを終えた際には「おめでとう」と明るく送り出してくれた。

男性は事件前日の16日に復職し、人生の新たな一歩を踏み出したばかりだった。「先生に16日から復帰していいといわれて、事件の日はクリニックに行かなかった。先生に生かされたようなもの」。死亡が確認された西澤弘太郎院長(49)への感謝を口にし、こう続けた。

「亡くなった方の分まで一生懸命に生きないといけない」