主張

新生銀TOB成立 公的資金返済に手尽くせ

SBIホールディングスが実施した新生銀行へのTOB(株式公開買い付け)が成立し、新生銀は17日付でSBI傘下の連結子会社となった。

異例の敵対的買収に発展した攻防は新生銀が11月下旬に買収防衛策を撤回して決着した。

SBIは傘下入りした新生銀の収益向上に責任を負う。新たな経営戦略の具体策を示し、円滑に実行しなくてはならない。特に重視すべきは3500億円の公的資金の返済だ。

SBIの北尾吉孝社長は、新生銀の返済が滞っていることについて「10年、20年単位で金を返さないのは泥棒と一緒」と批判していた。その言葉に背かぬよう確実に返済を果たしてもらいたい。

SBIの議決権比率は、10日のTOB成立で47・77%まで高まった。新生銀は来年2月、SBIが推薦する五味広文・元金融庁長官らの取締役就任を諮(はか)る臨時株主総会で経営陣を刷新する。SBIは銀行持ち株会社の認可申請や新生銀株の過半数取得も検討する。

SBIは「第4のメガバンク構想」を掲げ、全国の地方銀行と資本提携する連合を進めている。その中核として消費者金融などに強みを持つ新生銀を組み込む相乗効果などに期待しているようだ。

政府は新生銀の前身で平成10年に経営破綻した旧日本長期信用銀行に公的資金を投入し、その対価となる普通株を保有している。大手行で返済を終えていないのは新生銀だけだ。いまだ解消できない金融危機の残滓(ざんし)である。

返済するには新生銀の株価を足元の4倍近い1株7450円まで上げる必要があるが、これが容易ではない。SBIは令和7年3月期の新生銀の最終利益を3年3月期の1・6倍にする計画だが、業績を伸ばせても目指す株価になるとはかぎらない。超低金利などで経営環境も厳しい。その中でいかに企業価値を高めるかについて納得できる道筋を語ってほしい。

TOBが成立したのは、大株主の政府が新生銀の買収防衛策に反対する見込みとなったことが大きかった。それがSBIを後押ししたことを政府は重く受け止めるべきである。行政の公正さが揺らいだり、不当に経営に介入したりすることは当然許されない。一方で新生銀の経営状況を厳しく監視して適切に監督することは、公的資金返済を確実にするために果たすべき金融庁の責務でもある。