脳を知る

物忘れ悩むより人と交流を 和歌山・物忘れ外来

済生会和歌山病院では2018年5月に物忘れ外来を開設して以来、約3年間で600人の新規患者さんを診療してきました。そのうち認知症と診断されたのは3分の1であり、残りの3分の2の人が正常(年齢相応)もしくは軽度認知機能障害と診断されました。軽度認知機能障害とは、正常と認知症の間の状態で、油断していると認知症に陥る可能性があるが、認知症ではない状態のことをいいます。このように物忘れを心配して物忘れ外来を受診したが認知症ではなかった人、つまり正常もしくは軽度認知機能障害の状態の人はどのように過ごしていけばよいのでしょうか?

85歳で一人住まいの女性です。近くに住む娘が「最近、同じことを何度も言うなどの物忘れが多い」ことを心配して、物忘れ外来を受診されました。物忘れ以外には、食事の支度がおっくうになった、といった軽度の意欲低下が認められますが、家事など日常生活はすべて以前と同様にできており、生活においては介助などはいらない状態です。診察でも会話の内容や神経の状態は正常であり、ご自身でも少し物忘れが増えてきたことの自覚もあります。

検査を行いました。脳のMRIでは軽度の脳萎縮は認められますが、年齢的には正常範囲内です。さまざまな認知機能テストでは、記憶力に関しては低下していますが、記憶以外には目立った低下は認めませんでした。私の診断は、「年齢相応」です。