【香港=藤本欣也】19日に投開票された香港立法会(議会、定数90)選の結果が20日、発表され、親中派が議席をほぼ独占した。非親中派で当選したのは1人だけだった。今後、中国政府から早期成立を求められている「国家安全条例」案の審議が始まるのは必至で、同条例の可決・成立は時間の問題となった。
「国家機密の窃取」などを禁じる同条例は、2020年6月に施行された香港国家安全維持法(国安法)を補強するもの。03年に香港市民が反対デモで廃案に追い込んだ経緯がある。
選挙管理委員会の発表によると、20議席の直接選挙枠と40議席の選挙委員会枠では親中派が全勝する一方、間接選挙で選ばれる職能別選挙枠(30議席)で、民主派でも親中派でもない中間派が1人当選した。
投票率は前回16年の58・3%を大幅に下回る30・2%で過去最低を記録。民主派を排除する新たな選挙制度に市民の大多数が「NO」を突きつける形となった。
林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は20日夜から北京を訪問、中国最高指導部と会談するとみられる。今後の焦点は来年3月の行政長官選の行方だ。中国側の意向で全てが決まるだけに、最高指導部との会談が注目されている。