時を越えた羅漢像の尊厳と美しさ  千代田路子さん、21日から写真展

五百羅漢像とその修復過程を撮影した写真家、千代田路子さん
五百羅漢像とその修復過程を撮影した写真家、千代田路子さん

写真家の千代田路子さんが天恩山五百羅漢寺(東京都目黒区)の羅漢像を撮影し、像の魅力と、像を修復する長井武志さんの姿にせまった「五百羅漢修復 祈りの継承」展が21日から、東京都千代田区の日本カメラ財団(JCII)・クラブ25ギャラリーで開催される。

五百羅漢寺には、江戸時代の仏師、松雲元慶が彫刻し、300年近い歴史を持つ羅漢像305体があり、度重なる天災や人災を乗りこえ、東京都の重要文化財として一般に公開されている。

羅漢像(千代田路子撮影)
羅漢像(千代田路子撮影)

千代田さんは、修復された像やその過程、工房での長井さんの作業の様子などを撮影。今展覧会では写真約50点を発表し、その中には縦90センチ×横60センチに大きく引き延ばした像の写真8点も含まれている。

千代田さんは「数百年前につくられた仏像や修行僧の像を現在も見ることができるのは、代々誰かの手で修復されてきたからこそ。そこに込められた人々の思いを感じた」と話す。

修復といっても、羅漢像の場合、つくられた当初の状態に戻すことではなく、風雪に耐えてきた痕跡をそのまま大切にする現状維持修理といい、一年間に4体できるかできないか。千代田さんは「像に欠損した部位があっても、長い年月を経てきた証しであり、それも含めて羅漢像の美しさ」と述べる。

羅漢像(千代田路子撮影)
羅漢像(千代田路子撮影)

このほか会場では、長井さんにインタビューした動画作品も流され、撮影はカメラのレンズメーカーであるタムロンの社員、松山瑞樹さんが担当した。

羅漢像と向き合う長井さんについて千代田さんは、「人々の祈りをかなえる羅漢像を修復する姿は、医師と患者の関係を思わせた」と振りかえる。

今回、展覧会と同名の写真集も出版。長井さんによる修復についての解説や、五百羅漢寺の執事、堀研心さんによる同寺と羅漢像に関する紹介、写真評論家の上野修さんによる作品についての論評も掲載される。

千代田さんは、「羅漢像が長い時を超えてきたからこその尊厳、美しさが写真を通じて伝わればうれしい」と語った。

写真集「五百羅漢修復 祈りの継承」(りぼん舎)
写真集「五百羅漢修復 祈りの継承」(りぼん舎)

【期間】12月21日(火)~26日(日)午前10時~午後6時 ※期間中休館日なし

【場所】JCII(一般財団法人日本カメラ財団)クラブ25ギャラリー : 東京都千代田区一番町25番地JCII一番町ビル

【入場料】無料

※仏像修復についての講演会(オンラインでも同時配信)が12月25日(土)午後2時~午後3時30分、JCII会議室で