CARストーリー

カー・オブ・ザ・イヤー受賞の上質コンパクト ノートオーラ

プレミアムコンパクト。小さなボディーに豪華なインテリアをまとった国産小型車が登場した。上質なクルマを探すとサイズが大きく、日本の道路事情を考えると購入に躊躇(ちゅうちょ)しがち。コンパクトは価格は安いが実用的なつくり。そんなイメージを一新するのが「ノートオーラ」だ。高級車に引けを取らない仕上がりが評価され「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。日産の復活をイメージづける〝今年の1台〟を紹介する。

(土井繁孝、写真も)

プレミアムなコンパクトカーをめざしたノートオーラ。凝った作りのフロントグリルやツートーンカラーなどクラスを超えた仕上がりだ=横浜市中区(ソニー α1 FE70-200mm F2・8GM)
プレミアムなコンパクトカーをめざしたノートオーラ。凝った作りのフロントグリルやツートーンカラーなどクラスを超えた仕上がりだ=横浜市中区(ソニー α1 FE70-200mm F2・8GM)

コンパクトカーは自動車販売台数の上位を占める人気車種で、メーカーも主力の位置付け。ホンダのフィット、スズキのスイフト、マツダ2などライバルひしめく激戦区で、業界トップのトヨタは、ヤリスにアクアと2車種をラインアップする。

リアハッチは開口部が大きく使いやすい
リアハッチは開口部が大きく使いやすい

日産は、エンジンで発電し、モーターで走行する「e―POWER」を搭載したノートで勝負を挑む。

日産の独自技術eーPOWERが採用されたエンジンルーム
日産の独自技術eーPOWERが採用されたエンジンルーム

ノートオーラは、ノートをベースに横幅を40ミリ広げて3ナンバーにし、ヘッドランプをシャープなデザインに変更、迫力あるボディーになった。モーターの出力は116馬力から136馬力に高められ、タイヤは2インチアップの17インチで、余裕ある走りを実現している。

3ナンバーとなったノートオーラ。17インチのホイールが装備される
3ナンバーとなったノートオーラ。17インチのホイールが装備される

なによりの違いはインテリアだろう。ツイード調の生地と合皮、美しい木目調パネルが組み合わされたダッシュボードは凝った作りで見栄えもいい。残念なのはシートの調整が手動なこと。電動パワーシートはぜひとも搭載してほしい。

木目調パネルやツイード調の生地があしらわれた凝った作りのダッシュボード
木目調パネルやツイード調の生地があしらわれた凝った作りのダッシュボード

オプションになるが、「BOSEパーソナルプラスサウンドシステム」が初めて設定された。フロントシートのヘッドレストにスピーカーを内蔵し、コンサートホールのような臨場感を生み出す。

包み込まれるようなサウンドが得られるスピーカー内蔵ヘッドレスト
包み込まれるようなサウンドが得られるスピーカー内蔵ヘッドレスト

技術の日産らしいしっかりとしたクルマづくりは高く評価されノートやノートオーラなど4車種が「2021―2022 日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。2位以下を大きく引き離し、60人の審査員のうち、14人が満点という高評価。日産の受賞は2011年のリーフ以来、10年ぶりとなる。

高級な素材を使い質感を高めたインテリア
高級な素材を使い質感を高めたインテリア

今回試乗したのはFFの「G」。フルモデルチェンジした2代目は、初代とは違う運転フィールを持つ。e―POWERの発売当初はワンペダルドライブがうりで、アクセルペダルだけでクルマの停止までコントロールできたが、新型ではアクセルのオンオフによる加減速がマイルドになり乗り心地がよくなった。

さまざまな情報が表示できるメーターパネル
さまざまな情報が表示できるメーターパネル

クルーズコントロールの「プロパイロット」もより自動運転に近づき、急なカーブでは、ナビの地図情報を読み込んで、自動で減速してくれる。最初はなぜスピードが落ちたのか分からないほどのスムーズなブレーキングで技術の進歩を実感した。特にサスペンションがよく、街中では多少の突き上げ感を感じるが、山道などカーブが連続するような道路では抜群の安定感をみせる。

モーターの駆動音がやや耳につくが、今年を代表するクルマとして異存はない仕上がり。上質な国産コンパクトをお探しなら、迷うことなくオススメしたい。

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