書評

『父ガルシア=マルケスの思い出 さようなら、ガボとメルセデス』

ラテンアメリカの枠を超えて20世紀文学を代表する存在となったノーベル賞作家ガブリエル・ガルシア=マルケス(1927~2014年)。米国で映画監督になった長男が、巨大な作家である父との思い出をつづっている。

有名作家の葛藤が伝わる挿話が多い。代表作『百年の孤独』の執筆時、小説が長く退屈になるのを避けるために下したある決断。自身の文学的成功への疑念…。認知症を患った晩年の「記憶こそが僕の道具で、僕の原材料なんだ。それがなかったら仕事ができない」という一言は痛切だ。客観的視点と繊細な筆致が溶け合う秀逸な回想録。(ロドリゴ・ガルシア著、旦敬介訳/中央公論新社・2200円)