書評

『R.I.P.安らかに眠れ』

「望んでいたから死なせてあげた」。優しかった兄はなぜ、3人の自殺志願者を殺害してしまったのか。裁判を傍聴する妹を通して、自死を見つめた長編小説。

被害者である19歳の少年には、失恋や難病といった他の2人のような分かりやすい理由がなかった。「生きていること自体が苦しい」。人間には生の欲動と死の欲動がある。自殺未遂を繰り返し、21歳で自らの命を絶った作家・久坂葉子を例に、死の欲動が強い人格があることを説明していく。

作者は多くの死を見てきた現役医師でもあり、生と死のありよう、そして複雑さを突きつけてくる。(久坂部羊著/講談社・1760円)