コロナ禍で奮闘する北海道盲導犬協会 25日にオンライン見学会

障害物の手前で止まり、安全を知らせたパール号をほめる訓練士の北島さん=10日、札幌市の北海道盲導犬協会(坂本隆浩撮影)
障害物の手前で止まり、安全を知らせたパール号をほめる訓練士の北島さん=10日、札幌市の北海道盲導犬協会(坂本隆浩撮影)

視覚障害者の「目」となり日常生活を支える盲導犬は国内で861頭(令和3年3月末時点)が活躍する。全国11団体が年間100頭前後を育成するが、その一つの北海道盲導犬協会(札幌市)は今年、新型コロナウイルスの影響で収入の柱である募金が落ち込み運営が厳しい状況だ。和田孝文所長は「知ってもらうことが大切」として、オンライン見学会など発信力を強化している。

半世紀で580頭育成

道盲導犬協会が設立したのは昭和45年。この半世紀で580頭の盲導犬を送り出してきた。国内では唯一、冬道の訓練に対応しており、北海道や東北など積雪地域で盲導犬を希望する視覚障害者にとっては重要な育成拠点だ。

「大切な家族です」と話す白神さんにぴったりと寄り添う盲導犬カムイ号=17日、北海道江別市(坂本隆浩撮影)
「大切な家族です」と話す白神さんにぴったりと寄り添う盲導犬カムイ号=17日、北海道江別市(坂本隆浩撮影)

北海道江別市の白神展子(ひろこ)さん(57)は6年前に同協会から盲導犬の貸与を受けた。難病による視力低下で40歳ごろから生活に支障が出るようになり、49歳の時に申請。1年待ちでカムイ号を紹介された。「盲導犬がいてくれることで自分の好きな時間に外出ができるようになった。今は大切な家族です」と笑顔で語る。

盲導犬は道路の段差や交差点、障害物など外出時の危険を回避し、ユーザーを安全に誘導してくれる存在。同協会は年間55頭を盲導犬候補として育成するが、最初の2週間で行われる適性確認で半分ほどに絞られる。その後、7カ月にわたる実践訓練があり、「盲導犬として活動できるのは10~15頭ほど」だ。

同協会には7人の盲導犬訓練士がいる。今年で10年目という北島航一さん(33)は「ユーザーさんが『この子でよかった』と喜ぶのが一番うれしい。ただ、盲導犬になれない犬もおり、訓練士としての責任も感じる」と話す。

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