人類は誕生以来、さまざまな技術を開発することで繁栄を続けてきた。21世紀の原動力となるのは人工知能(AI)を中心とするデジタル技術だ。「第4次産業革命」の前夜が訪れ、新たな文明の姿が見えてきた。
加速するAI
「AIは人類がこれまで取り組んできたことの中で最も重要だ。電気や火より奥が深い」
米グーグルの最高経営責任者(CEO)を務めるスンダー・ピチャイ氏は講演などで、AIの価値をこう表現する。
AIは約10年前、「ディープラーニング」という新技術が登場し、社会への応用が一気に進んだ。人の脳神経回路をまねた仕組みを使ってコンピューターが自律的に学習する技術で、人間にしかできないと思われた領域にAIが進出する契機となった。グーグルはその開発競争の先頭を走る。
AIはあらゆる産業に飛躍的な進歩をもたらす威力を持つ半面、電気や火のように、扱いを誤れば脅威になり得る。AIの知能が人類全体を超える「シンギュラリティー」と呼ばれる転換点が近い将来に訪れるという予測も、現実味を持って議論され始めた。