10万円給付 拙速な制度設計、混乱招く

衆院予算委員会で10万円相当給付を説明する岸田文雄首相=13日午前、衆院第1委員室(矢島康弘撮影)
衆院予算委員会で10万円相当給付を説明する岸田文雄首相=13日午前、衆院第1委員室(矢島康弘撮影)

新型コロナウイルスの経済対策として18歳以下への10万円相当給付を盛り込んだ令和3年度補正予算案が20日の参院本会議で成立する。政府は当初、年内の現金5万円と来春までの5万円分のクーポン給付を基本としていたが、事務を担う自治体などの反発を受けて年内の現金一括給付も認める方針に転じ、迷走を極めた。制度設計にあたって与党協議を急いだことなどが混乱につながった。

予算委前に首相指示

「春にクーポンが間に合わないという自治体がほとんどだ。自治体にはワクチンの3回目接種で手伝ってもらう必要もある。現金一括給付も認めるべきだ」

山際大志郎経済再生担当相は10日、首相にこう進言した。3日後に衆院予算委員会の質疑を控えており、野党の追及で国会が紛糾するのは目に見えていた。

首相自身、自治体などから反発が出る中、クーポン案は難しいという認識を持っていた。翌11日、首相は「自治体がやりやすいようにやろう」と事務方に対応を指示した。

「自治体の判断で、年内からでも10万円の現金を一括で給付することも選択肢の一つとして加えたい」

首相は13日の予算委で、こう明言した。事実上の方針転換となり、野党側は「混乱をもたらす」(立憲民主党の小川淳也政調会長)などと批判した。迷走はひとまず収まったが、後味の悪さは否めなかった。

大半の自治体はクーポンを採用せず、10万円を一括または5万円ずつに分けて給付する方向だ。クーポンは事務作業が煩雑なうえ、受給者には現金給付を求める声が多いためだ。

日本維新の会の馬場伸幸共同代表は「制度設計するときに地方の声をまず聞いてベストな方法をやるべきだった」と指摘する。