容疑者10年前に家族とトラブル 大阪・北新地ビル火災

谷本盛雄容疑者の居住先とみられる住宅=18日午前、大阪市西淀川区(竹川禎一郎撮影)
谷本盛雄容疑者の居住先とみられる住宅=18日午前、大阪市西淀川区(竹川禎一郎撮影)

大阪市北区曽根崎新地のビルから出火し、24人が死亡した放火殺人事件で、現住建造物等放火と殺人の疑いが持たれている谷本盛雄容疑者(61)は、約10年前にも長男を包丁で刺したとして殺人未遂容疑で逮捕されていた。「おとなしくてまじめ」「短気でかっとなることもある」。知人らの証言からは谷本容疑者のさまざまな横顔が浮かぶ。大阪府警天満署捜査本部は今回の事件に至った経緯を慎重に調べている。

知人らによると、谷本容疑者は約20年前、大阪市西淀川区姫島の住宅に妻や息子らとともに引っ越してきた。近くに住む女性(72)は「おとなしいけど、愛想はいいという印象。家族仲はよさそうに見えた」と振り返る。

しかし、その後に谷本容疑者は妻と離婚し、家から出ていったという。

そして平成23年4月に事件が起きた。当時25歳だった長男の頭を刺したとして府警西淀川署が谷本容疑者を殺人未遂容疑で逮捕。西淀川区内の長男宅のマンション一室で、飲酒をしていたところで口論となり、かばんに入れていた包丁で刺したという。長男は頭や肩にけがをしたが、命に別条はなかった。

「かなりショッキングな事件だった」。近所の女性(52)は当時を思い出す。現場検証はドアを開けたまま行われ、玄関には血だまりができていたという。「普通の家族に見えたしトラブルが起きそうだとは思わなかった。離婚していたことも知らなかった」

一方、谷本容疑者が一時勤務していた板金工場の男性社長(78)は、谷本容疑者について「少し短気なところがあり、かっとなって口を利かなくなることもあった」としつつ「職場でトラブルはなかったし、後輩にも慕われていた。事件を起こすような人ではなかった」と話す。

先月頃から、かつての自宅だった西淀川区姫島の住宅に出入りする谷本容疑者の姿が近隣住民らに目撃されていたが、今回の事件直前にこの家にも放火した疑いが持たれている。

この家から現場まで4キロ余りの道のりにある複数の防犯カメラに、前かごに紙袋を載せ、自転車で現場まで向かう谷本容疑者とみられる男の姿が写っているのを捜査本部が確認したという。現在は重度のやけどを負うなどし、意識不明の重体という谷本容疑者。かつての自宅に戻ってきた理由を含め、まだ謎は多く残っている。