主張

大阪ビル火災 被害抑える基本の確認を

大阪市北区のビル火災で、28人が死傷した。火元のクリニックでは、男が持っていた紙袋付近から出火したとの情報があり、大阪府警は放火の疑いで調べている。

火事は8階建てのビルの4階フロア約25平方メートルを焼失し、出火から30分足らずで消し止められた。この間に多くの人が犠牲となった。なぜこれほど被害が拡大したのかについては、今後の捜査を待たなければならない。

多くの死傷者を出した悲惨な火災は過去にも起きている。

令和元年7月には京都市の京都アニメーション第1スタジオが放火され、36人が死亡、32人が重軽傷を負った。平成13年9月には東京・歌舞伎町の雑居ビルから出火し、44人が亡くなった。放火の疑いが高いとされるが、摘発には至っていない。20年10月には大阪市浪速区の個室ビデオ店が放火され、16人が死亡した。

悪意の放火を防ぐことは難しいが、火災の被害を最小限に抑えるための日ごろの取り組みや、避難の際の基本の徹底をこの機に確認しておきたい。

東京消防庁は歌舞伎町ビル火災から20年を機に今年8月、防火防災管理の見直しを呼びかけた。

歌舞伎町ビル火災ではビルの屋内階段に大量の物が放置されていたことが問題視された。これらが避難の障害となり、消防隊の救助活動の妨げとなった。

これを教訓に消防法が改正され、消防機関が立ち入り検査などで階段や廊下などに置かれた物に危険な状況を確認すれば、除去の命令を出せるようになった。

もちろん命令を待たず、放置物が避難の邪魔や防火シャッターの作動の障害になっていないか、確認を怠らないようにしたい。

大阪のビル火災でも死傷者の多くは、一酸化炭素中毒によるものとみられる。

いかに煙を吸わずに逃げるかが重要となる。煙は上昇し、天井にぶつかって横に広がり、下に向かって滞留を始める。姿勢をできるだけ低くし、タオルやハンカチを鼻と口にあてて避難することが基本である。この際、タオルやハンカチをぬらす必要はない。

震災や大雨による被害を経て防災意識を高めるように、悲惨な事件、事故を、自らの備えや行動を確認する機会としなくてはならない。それが唯一、われわれにできることである。

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